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ゼロの夜想曲 15

“かかってこいよ”

その挑発にギーシュは顔を真っ赤にして薔薇の花を乱暴に振り下ろした。
途端、息を吹き返した青銅の女戦士は先程より数段早い動きで俺に殴りかかってきた。
俺はそれをまた軽く避け、彼女内側に入り込むとおなかに軽く手を当てた。
そして、腰を落とし掌底の要領でまっすぐにその手を前へと突いた。
軽い衝撃と共に彼女の腹は粉々に砕けがらがらと上半身が崩れ去り・・・ついでゴトリと下半身が転んだ。
ちょっとあっけなすぎたかと思ったが、周りの反応は上々だった。
一瞬シンとした広場が次の瞬間驚愕の声に包まれていた。

「おい・・・一体何が起こったんだ?」
「ギーシュの青銅が・・・」
「ワルキューレが真っ二つになったわ!」
「一体、あいつ何をしたんだ?!」
「魔法を・・・・?でも詠唱が・・・」

パンッと手をはたいて姿勢を正せば、周りの視線が一瞬で俺に集まったのがわかりなかなか気分がいい。
ギーシュは・・・というと、彼は先ほどの薔薇を振り下ろした姿勢のまま唖然としていた。
何が起こったのかわかっていないのだろう。情けない顔だ。
俺はくすりと笑い、
「その程度か?青銅のギーシュ?」
言ってやると、彼は悔しそうに唇を噛みブルブルと怒りに体を震わせた。
「・・・・ま・・・まさか!」
「そうだろうな?あんだけの啖呵切ったんだ。そろそろお前の本気ってやつ、見せてくれないか?」
少しは楽しませてくれるんだろう?
演技ったらしく両手を広げて言えば、彼は噛み付きそうな目で俺を睨んだ。

その時、
「おい、ギーシュが押されてるぜ?」
そんなギャラリーの声が落ちてきて、彼はまた薔薇を乱暴に振った。
「煩い!!!!黙っててくれよ!今から、こいつを血祭りにあげてやるんだから!!!」
またも勇ましい啖呵をきったギーシュ。
「血祭り・・・ね」
ほんと、こいつは俺を笑わせてくれる。
彼は薔薇をまたしても乱暴に振り上げた。
すると、真っ赤な花びらが数枚舞い降り、それがまたゴーレム、青銅の女戦士へと姿を変える。
数が増えただけ・・・か。
そのことに落胆がなかったわけではないが、彼の顔が真剣なのでそれに付き合ってやることにした。
だらりと横に垂らしていた右手、ローブの中で何度も開いたり閉じたりを繰り返しウォームアップをさせる。
そして最後にグッと強く握り締め、自分の力をそこに集めていく。

俺の体の中にある鬱屈としたようなもの・・・。
滾々と湧き出て、解放の時を待っている力。
放たなければ内側から食い破られそうになるほどに大きく育つ欲望。
それを練って練って・・・なるべき形へと昇華させてやる。

相手が生き物ではないことが残念ではあるが・・・まぁ、その機会はすぐに巡ってくるだろう。楽しみは後にとっておいたほうがいい。
ググッと力をいれた拳。ゆっくりと腕を曲げ持ち上げていくと、拳の中心に力の結晶が形を取って現れる。
さらりとローブの裾が落ち、俺の手が群集の目に晒されると大きなどよめきが起こった。
俺の手に握られているのは、一本の光の剣。
神々しいまでの光を放ち、猛々しい殺意を振りまく凶暴な刃。

「あれは・・・一体なんだ?」
「魔法?」
「あんな魔法みたことないわよ?」
「でも、だったらあれは・・・・っ」

怪訝な顔をするギーシュ、動かないワルキューレ。
俺は、彼の真似をするように光の剣を大きく頭上へと持ち上げた。
そして、一気に振り下ろそうとしたのだが・・・・

「待ちなさい!!!!!」

そんな声が頭上から聞こえたかと思うと、俺とギーシュの間に何者かが振ってきた。
誰かと目を細めると・・それは、中年の魔法使い。
ミスタ・コルベールだった。

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