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会いたいな。

FT系 こんなのが書きたい というだけの話。
ちょっとだけ続けてみた。 読み返してないけれど。

国元に帰ったロヴィーナ姫は、「ヴェー!姉ちゃん!!」と飛んできた弟を足を引っ掛けて転ばし、背中をムギュっと踏みつけた。
「ヴェッ!」
「フンッ!」
「姉ちゃんひどいよ、あ、痛いッ痛いッ!」
「何よ、バカ弟!少しは体が大きくなかったかと思えば、それだけじゃない!」
「あうあぅ、ひどいよ!ねぇちゃんっ!久しぶりに会うっていうのに!」
「うるさいわねッ!あんたも王子ならもうちょっとマシな出迎え方とかあるんじゃないの!?」
そういってグッと体重を掛けたロヴィーナ姫を、彼女についていた侍女が慌てて引き止め、フェリシアーノ王子についていた侍女が彼が立ち上がるのを手伝った。
「ヴェー…」
「フンッ、相変わらず間の抜けた顔ね!」
「ヴェ、姉ちゃんも相変わらずだねー、俺、嬉しいよ!」
姉姫の可愛くない言葉に気を悪くした様子もなく、フェリシアーノはニッコリと微笑むと彼女の手を取り「お父様やお母様に挨拶にいこうよ!」と彼女を急かした。

 *

父・母との久しぶりの邂逅は1時間ほどで終わり、フェリシアーノとロヴィーナは彼女がかつて使っていた部屋へと向かった。
かつて使っていた…と過去形ではあるが、その部屋は彼女の部屋としてちゃんと残されており、いつでも使えるようにときちんと掃除されていた。
彼女の部屋は、彼女が使っていた時と雰囲気はそのままに少しだけ調度が変わっていた。
少しだけ大人になった彼女のために、少しだけ調度品の格調も上げられていたのだ。
だけどお気に入りのクッションはそのままだし、お気に入りの鏡台もそのままだ。
天気がいいから…と、テラスで二人はお茶をすることにして、しばし近況報告などをする。
フェリシアーノは、姉が居なくてどれほど寂しかったかを切々と語ったかと思うと、すぐにけろっと笑顔になって新しく城に勤めだしたメイドにとっても可愛い子がいるという話や、兵舎で飼われている猫の話やスイス国から輸入したチーズがどれほど美味だったか、また近頃は窯でピザを焼く練習をしているとか…とのべつ幕無しにしゃべりだす。
ロヴィーナは弟の止まらない話にはじめ呆れていたが、弟が本当に本当に姉が帰ってきた事を喜んでいるのがわかって仕方が無いとおとなしく耳を傾けてやった。

「ヘェ…馬、乗れるようになったのね」
「うん!んー…まだ子馬だけどね!そうだ!姉ちゃんにも紹介してやるよ!」
「えぇー…いいわよ、馬なんて」
「そう言わないで!俺の馬、とってもかわいいんだから!」
ねぇ!っと誘われても、ロヴィーナはそれほど乗り気にはなれない。
姫である彼女は馬に乗れなくても一向にかまわないし…そもそも猫や子犬ならまだしも、馬なんて可愛いとは思わない。
だがあまりにも弟が進めるので仕方なく「明日ね」と約束を交わしてしまった。
そうやって談笑が一区切りつくと、やがて弟が「姉ちゃんの方はどうなの?」とロヴィーナの事を聞いてきた。
「いじめられてない?ちゃんと美味しいもの食べてる?」
「え、う、うん。大丈夫…よ」
「本当に?」
心配そうな弟に、彼女は視線を逸らしながら頷いた。
「うん…別にイジメられてないし…ご飯は…あ、あの、ルートヴィヒがうちの国から料理人を呼んでくれて…」
そうして頬を染める姉に、フェリシアーノは「ヴェ」と目を瞬いた。
「ルートヴィヒ…って…第二王子…えっと、第一王子が即位したから今は第一継承者になっている人のことだよね?姉ちゃんの婚約者の」
「そ、そうよ」
「ヴェ、ねぇ、ルートってどんな人なの?」
いきなり相性で呼ぶ弟に呆れながらも、「別に…」とロヴィーナはそっけなく返した。婚約者のことを弟に尋ねられて気恥ずかしいのもあるが…
「別にって…どんな人?すっごく大人の人なんでしょう?いいひと?優しい?カッコイイ?」
「えぇッ…?えーっと…お父様より大きくて…えと…よくわかんないわよ」
「よくわかんないの?もうずっと向こうで暮らしてるのに???」
驚くフェリシアーノにロヴィーナは口を尖らせた。
実際、彼女は彼の事を弟に事細かく紹介できるほど、ルートヴィヒの事を知らなかった。
週に2度のティータイムは継続中であるが、しかしそれだけ。婚約者同志でありながら、顔見知り以上、友達未満…というのが、ロヴィーナとルートヴィヒの関係だ。
ロヴィーナはそのことを今あらためて思い知り、なんだか悲しいような腹立たしいような気持ちになった。
「本当に知らないの?どんな人なの?二人でどんな事しているの?遠乗りとか、場内の散歩とかするんでしょ?」
「し、しない!だ、だって、ルートヴィヒはあんたと違って忙しいのッ!毎日会えるわけじゃないしッ!それに、会えてもそんなに長い時間会えるわけじゃないもの!」
「でも婚約者なんでしょ?俺だったら毎日だって会いに行くとおもうけど」
一緒に遊びたいなぁって思うよ。
池に小舟を浮かべて遊んだり、遠乗りに出かけたり、森にピクシーを探しに行ったり…。
不満そうなフェリシアーノに、ロヴィーナもまた不満そうな顔をした。
「だ、だから!忙しいんだってばッ!あんたみたいなガキとは違うんだってば!」
「ヴェ」
ロヴィーナの言葉に悲しそうな顔をしたフェリシアーノは、クッキーをひとつぽりぽりと食べると「やっぱり姉ちゃん…」となにやら口の中でもごもごと言った。
「何?」
「う、ううん。それよりさ、姉ちゃんとルートは結婚するまでまだ5年あるんでしょ?」
「…4年とちょっとよ」
「うん。だけどまだ時間があるよね」
「だからなに?」
「あのね、うちの南の海でね、昔大きな海賊船が沈んだって話しってる?」
「…知ってる…けど」
それは殆ど伝説的な話だ。
その昔…100年だか200年だか前に、このあたりを拠点にしていた海賊は、とても大きな組織で7つの海をまたに駆けて金銀財宝をかき集めて悪行の限りを尽くしていた。
その海賊船が…このあたりにあったという拠点の港に入ろうとした時にわかに嵐が起こり、海を荒らし回った事を怒ったリヴァイアサンがその海賊船を海へと沈めてしまったという話だ。
「でも、それはお話でしょう?このあたりはずっと海は静かじゃない」
リヴァイアサンなんて聞いたことがないわっというロヴィーナに、フェリシアーノはふふふっといたずらっぽく笑った。
「何よ」
「うん!あのね、俺もお話だと思ってたんだ!だけどね、歴史の先生に聞いたら、確かにその頃大きな嵐があったんだっていってたよ!」
「…それで?」
「それでね、もしかしたら海の中に金銀財宝がいっぱい眠ってるかもしれないって」
「ふぅん」
でも、そんなものに弟は興味があったのかしら?っとロヴィーナは思ったが、「もう!そのお金があれば、姉ちゃんはドイツ帝国なんかにお嫁に行かずにすむかもかもしれないっていってるのに!」という弟の言葉に、彼女は驚いて目を丸くした。
「姉ちゃん、ドイツ帝国に行くっていうのすっごく嫌がってたじゃない?お国のためにイヤイヤだったじゃない?それに、ルートとも上手くやってないんでしょ?」
「え、あ…」
「だからさ!俺が姉ちゃんを助けてあげるよ!」
フェリシアーノは椅子から立ち上がり、そらした胸に拳を当てた。
「歴史の先生もいってたもん!お金があれば、姉ちゃんはドイツ帝国には行かないでいいって!だから姉ちゃん待っててね!俺、絶対海賊船の財宝を見つけて、姉ちゃんを助けてあげるから!」
目をキラキラと輝かせる弟に、ロヴィーナは曖昧に頷くことしかできなかった。

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