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037 あとどのくらい?

バロン セシルとシド
またもや題名と全く関係なくなりましたorz ごめんなさい
しかも読み返さない(゚∀゚)アヒャ

地下の飛空挺建設現場、その片隅にあるシドの設計室にシドとセシルはいた。
シドは大きなテーブルに設計図を広げ、先程からそろばんを叩いてはメモに数字を落としている。
正面に座ったセシルも紙になにかを熱心に書いているが、それはなんとも表現に困るものだ。ウサギのような…馬のような…それとも魚のような(残念ながら、セシルには絵の才能がない)

「ふむぅ」
しばらくしてシドが腕を組んでなにかを考え出すと、セシルは紙から顔を上げお茶を入れるために席をたった。
お茶のセットは部屋の中におかれている。
乾燥したお茶の葉に、シドが好きなプシカという果実の種を砕き入れて、お湯で茶を出す。
すると部屋には茶の豊かな香りとともにプシカの甘い匂いが広がる。
青い花の描かれた陶器にお湯を入れて、器を暖めてから改めて茶を入れシドに差し出すと、シドはパイロットゴーグルの向こうで目を細めた。
「砂糖やミルクは要らないよね」
「あぁそんなもんはいらんいらん」
受け取ってすぐにカップを口に運んだシドは「あぁ~」っと掠れた声を出した。
「お疲れ」
「あぁ。悪いな、セシル。相手もしてやれんで」
肩を揉むシドに「いいや」とセシルは言う。
「ちょうど非番だったから」
「とか言って…狗どもが血眼になってお前を探しとるんじゃないか?」
「さぁそれは」
くすくす笑うセシルにシドは「冗談じゃないぞ」と肩をすくめた。
「それより設計図、なにか問題があるの?」
「ん?いや。ちょっと翼の角度をな…設計図通りでも問題はないが…」
後半はぶつぶつと独り言に変わり、シドはそろばんをまたはじいた。シドはそのまま計算を何度か繰り返していたが、やがて「まぁ簡単にはいかんな」とお茶に手を伸ばした。
「そっか…」
「ふん、だが安心しろ。最高の船を作ってやるからな!」
「それについては全然心配してないよ。心配するとしたらシドの体調かな。近頃家にも帰ってないんでしょ?」
「なんじゃ、娘にあったのか?」
驚くシドにセシルは首を横に振った。
「まさか、僕はそうそう町には降りられないよ。行ったのはカインさ」
「カインか」
渋い顔をするシドが不思議で、セシルが見ていると「いやな」とシドは照れたように鼻の頭を掻いた。
「娘のやつがカインの事を格好いい、格好いいっていうもんだからな」
そう言うシドにセシルは笑った。
「あぁ、カインみたいな不良にたぶらかされないか心配なんだね」
「不良とはいうとらんぞ。しかしあやつは…」
もごもごと口の中で言う。
不良と表現こそしたが、セシル本人もカインの事を不良だとは思っていない。
ただシドの心配するところは少しわかる。カインは竜騎士、その中でも優秀と名高い青竜騎士の隊長。しかもハイウィンドといえば、貴族としての位こそさほどではないものの古い伝統を持ち誰もが敬意を表すような家名。加えてあの美貌だ。若い娘たちからの人気は高いし、貴族連中も身内に入れたいと躍起になっているという噂。
カインにその気が無いとしても、シドの家にカインが目立って通うなんてことになれば、別の意味でもトラブルを招きそうだ。
「カインといえば…雲の上では雨が降らないって」
話を変えるつもりでセシルが言うと、シドはきょとんとしたような顔をした。
「そりゃそうだろう。なんじゃ、セシルしらんかったのか?」
「知ってたけど、知ってたけど、なんか新鮮に聞こえてさ」
「ふむ…確かになぁ…」
「それにさ、昼間にも星が見えるって」
「星が?」
「そう、青空の向こうに星が見えるって」
「そんなことがあるのか?」
驚くシドに「みたいだよ」とセシルは言った。
「カインが言ってた。夜みたいに沢山はみえないけれど、それでも光の大きな星は見えるんだって。昼間の月よりも儚い光だっていってたけれど」
「あいつらは目がいいからなぁ~…」
そんなこともあるのかもしらん。
シドは腕を組んで言う。
「僕はそれが楽しみなんだよね」
「ん?」
「飛空艇にのって、空の上で昼間の星をみたいなぁって」
セシルが夢見るように言うと、シドは目を見開き、それからくっくっくと笑い出した。
「おかしい?」
「あぁ…天下の暗黒騎士様がなんともロマンチックなことだな!」
わっはっはと大きな声で笑うシド。
「そうかなぁ…でもカインもキレイだって言うしさぁ…。見たいけれど、暗黒騎士は竜に嫌われてるから乗れないし…」
ちょっと妬ましいのだ。
そう頬をふくらませるセシルを見てシドはますます笑い、パイロットゴーグルを外し、目の淵に浮いた涙をウィンナーのように太い指でぬぐった。
「しかし、セシルがそう言ってくれると、ワシもやりがいがあるというものだ」
そう言ってシドは満面の笑みを見せた。
「飛空艇なんざ、なんと言い繕っても所詮は人殺しの道具にしかならないからな。それを昼間の星を見るために使いたい…なんて、なかなかどうして」
ブワッハッハと弾けるように笑うシドに、セシルも優しい顔で微笑んだ。
「セシル、お前は暗黒騎士なんざにゃ合わないよ」
「それ、近頃カインにも言われたよ」
「だろうな。だけど、ワシは…お前みたいなのが暗黒騎士にいてくれるとちょっと安心する」
「そう?」
「あぁ。お前さんならきっとワシの可愛い飛空艇を、戦場よりももっといい場所に飛ばせてくれそうだからな」
シドの言い様にセシルは少し照れくさくなって下を向き、思い出したようにペンを持ってラクガキを始めた。
そのセシルの手元を覗き込み、シドは微妙な顔をする。

「なぁ、セシル。それはまさかワシの顔だとは言わんよな?」

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