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エアリーランド

ロヴィ5才くらい。
モンスターの名前はヴァルキリープロファイル2より借りてきました^^;
読み返してません…orz

此処、砂漠のオアシス、ハルタは砂漠の中央にある大きな都市で、国々を回る商人達はもちろん、南にある古城や砂漠に出没するデザートホーンやジャイアントスカラベ、北の火山にある洞穴目当ての冒険者達が数多く訪れとても賑わっている。
そのハルタにあるギルドはとても大きく、冒険者達の子どもや使い魔を預かる施設が併設されている。

僕はハルタのギルドにある保育施設で働いている。
保育施設といっても、両親が経営している子供預かり所に毛が生えたような規模で、僕も勤めているというよりはお手伝いをしているといった感じだ。
今、僕が担当しているのは、近所に住んでいる子が7人と、冒険者から預っている3人。
みんな5才から10才。一番年上のターシャがとても面倒見がよくて、僕はとても助かっている。
彼女たちが遊びを提案したりして、子供たちの面倒をみてくれるので、僕は毎回手がかからない…と言いたいところなのだけど、今回は少し困っている。
というのも…

「いやだ!!!!」

床の拭き掃除をしていた僕は、叫ぶような声にハッとして後を振り返った。
すると…二日前に預かったロヴィーノという子がターシャからツンっと顔を逸らしている。
「お絵かきなんてだせーこと、俺はしたくない!!!」
「やってみたら結構楽しいよ。一緒にやろうよ」
「いやだ!!!」
「みんなやってるよ。保護者の人が帰ってきたら見せてあげようよ」
「ハッ、そんなの見せたって喜ぶわけ無いだろう!」
バカにしたような目に、さしものターシャもたじたじとしている。
そのターシャに助けを求めるような視線を向けられて、僕は慌てて立ち上がりロヴィーノの傍に腰をおろした。
「ロヴィーノ、何でも好きなものを描いていいんだよ。お花でも怪獣でも、食べ物でも。ね?」
「いやだ!」
「さぁあっちのイスに座って。クレヨンでお絵かきをしよう」
そっと背中を押してみるが、彼はがんとして動こうとはしない。
僕はターシャにこっちは任せて…と目配せをすると、彼女に他の子供達の面倒を任せることにした。
「えーっと…ルートヴィヒさんだったっけ?彼の似顔絵を描いてみるっていうのはどうかな?きっと喜ぶと思うよ」
「よろこばねーよ、そんなの!」
「そうかなぁ~、きっと喜んでもらえると思うよ。ロヴィーノ君が一生懸命描いたっていったらすっごく喜んでくれると思うよ」
僕がそういうと、少し彼の心が動いたようだった。
「きっとぎゅーーっと抱きしめて『ありがとう!』ってほっぺたにチュウしてくれると思うな」
どうだろう?
彼の横顔を伺うと、つんと尖った唇がなにか言いたそうにしていたのだが…
「あっ」
彼は突然僕のそばから走りだし、部屋を出ていってしまった。

慌てて彼を追うと、彼は『お庭』に出てしゃがみこんでいた。
ちょうど砂場のあたり。誰かが置き忘れたらしいスコップで砂を引っ掻き回している。
「ロヴィーノ…」
前にも問題のある子はいたけど…彼の場合は今までの困った子たちとは少し違う。
保護者を恋しがって泣いたりはしないし、おもちゃを壊したり他の子をなかしたりしないし…脱走を企てたりもしない。
だけど…やっぱり問題児だ。協調性がないし、かなり性格に問題を持っている。
根底にあるのは、やはり保護者と引き離された事にあるのだろう。彼は寂しいのだ。
だけどそれを表に出すことができない。それは意地っ張りな彼の性格のせいでもあるし…いや、もしかしたら寂しさの表し方がわからないのかもしれない。
「砂遊びがしたいのかい?」
「……」
「でも今は部屋の中で遊ぶ時間だよ」
「……」
「お昼を食べたらみんなで教会までお散歩にいくから、今はお部屋にはいらない?」
「……」
「嫌なの?」
「……」
彼からの答えは、砂を掻くことだけ。
僕は少し…かなり困った。
「僕と一緒に遊ぼうか」
お城、作るの得意なんだよ。
そう誘ってみたが、今度は背中を向けられてしまった。
これは…もしかしなくても、どっかへ行ってしまえという意思表示だろう。
僕は仕方なく立ち上がると、庭の隅に置いてあった木箱の上に腰掛けた。
ここからならロヴィーノはもちろん、ちょっと後を振り返れば窓から部屋の中を見ることができる。
本当は子供たちがお絵かきをしている間に床掃除を澄ませておきたかったのだが…仕方が無いだろう。

 *

そうやって、部屋の中を見て子供たちに声をかけたり、ロヴィーノの様子を見たりと何度か繰り返していた時、
「ふぁっ!」
とそれまでだまってこちらに背を向けていたロヴィーノが声を上げ、僕は驚いた。
「ロヴィーノ?!」
もしかして砂場にガラスでも混じっていたのだろうか。
怪我でもしたのかと慌ててロヴィーノを覗き込むと…彼の小さな手の中には青い色のビー玉が一つ握られていた。
どうやら怪我はないらしい…ホッと胸をなで下ろす僕の横でロヴィーノは目をキラキラと輝かせてビー玉を見つめている。
ただの…ビー玉なんだけど…。
でもまぁ…小さな子はこういうの好きだもんね。
「きれいだね。すごいじゃない!」
僕が褒めてやると、彼は僕に今気づいたというようにぎょっとして僕の方を見ると、慌てて手の中のビー玉を隠した。
とられるとでも思っているのかな…?
「いいものを拾ったね」
僕がそれに気づかないふりをしてニコニコと言うと、彼は困ったように目を彷徨わせ…
「これ…あいつにやる」
とボソリと言った。
「あいつ?」
「る、ルートヴィヒ…」
そういって真っ赤になっている彼はとても可愛らしくて、思わず抱きしめたくなったけれど…もちろんそれはぐぐっと我慢だ。
「それはいい考えだね!きっとルートヴィヒさんもすごくすごーく喜んでくれると思うよ」
僕がそう言うと、彼はこの保育施設に預けられて初めてはにかむように微笑んだ。

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