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甘く魅惑的な欲望 02

どうもここ数日体の調子がおかしい。

どこがどうだと一言で言えるほどの症状はないのだが、あえて言うなら体がいつもより熱っぽい気がする。
あと、いつもよりトマトが美味く感じないし、シエスタの時間になってもあんまり眠くない(まぁ、しっかり寝るけど)。
この不調は、もしかしてシチリアのマフィアが俺の領内でなにかやらかしてるせいなんじゃないかとも疑ったが、新聞やテレビを見る限りそんなこともない(寧ろ、いくつかの組織に警察の手入れがあったとかで、調子が良くなくてはいけない所)。
バカ弟にさりげなく聞いてみても、別に何にも異常は感じてないみたいだし…。
でもやっぱり何か変。気のせい…とは思えない。

 *

朝から弟はトマトをたっぷりと煮込んで、瓶詰めにしていた。
こうしておくと料理を作るときに便利だし、時間がないときはパスタを茹でて絡めるだけで立派な料理になるから、うちでは定期的に作っている。
だけど馬鹿弟が大きな瓶を2つ別に分けている手提げに入れたのが気になった。
「おい、それどうするんだ?」
と、聞いてみれば、力の抜けるような笑顔で
「ヴェー、ドイツのところにもっていくんだー」
と言った。
ドイツだって?俺は彼の名前が出た途端、瞬間的に腹がたった。
「なんでだよ!」
「だって、こないだ欲しいっていってたからね~」
「だからってわざわざやる必要ねぇだろうが!あいつはジャガイモばっかくってりゃいいんだ!」
「ヴェ、でもこの間バームクーヘンもらったからお返ししなきゃ」
兄ちゃんだって美味いって食べてたじゃん。
っと言われて、俺はハッとした。
もしかして…先週食った大きなバームクーヘンは…
「あ、あいつの手作りだなんて聞いてないぞ!!コノヤロウ!」
「ヴェ、だって、言ったら兄ちゃん食べないでしょ~」
「あったりまえだ!!!!」
なんで俺がジャガイモ野郎の作ったものなんかを食わなきゃいけねーーんだ!!!
あいつみたいにムキムキになったらどうするんだ!!
いまどきマッチョなんて流行らねーんだよ!!!
ガミガミ怒鳴りつけるが、
「でも食べちゃったからお礼しないとね~」
ヘラリと言われてグッと詰まる。
クソ!
馬鹿弟のくせに!
生意気だと頭をポカリと叩くと「いたいっ!」と言って涙をポロリと一粒流した。
「ヴェ~…」
「ふん!」
それでもドイツ二壜をやるのは撤回されないらしい。
彼はせっせとそれを手提げに入れて肩に掛けた。
「よいしょっと。じゃぁ、俺はいくけど…あ、兄ちゃんも一緒にいかない?」
「はぁ?!なんで俺がッ…」
クソジャガのところになんか行かなきゃいけねぇんだよ!!!
と言いかけて、今日はなんにも予定が入っていない事…と、ついでに、ずいぶんとあのジャガ野郎に嫌がらせをしていないのを思い出した。
もしかして…それが原因で体調不良を起こしているのかもしれない。
まぁ…あいつに会ったら会ったで余計ストレス溜まりそうだけど…でも、熟れ過ぎたトマトをぶつけたら(それでトマトでぐっちゃぐちゃになったあいつの顔みたら)ちょっとはすっきりするかもしれない。
「…よし、俺も行く」
そう言って立ち上がると、馬鹿弟はびっくりしたように目を見開き、それから「うん!」と嬉しそうに頷いた。
「ふん!」
別に俺はあいつと仲良く“お話”するために行くんじゃねぇからな!
俺はあいつにトマトの素晴らしさを教えるために行ってやるんだからな!
そこのところ勘違いするんじゃねぇぞ!っと言ってやろうかと思ったが、全く聞いてなさそうなのでやめた。

 *

そうして、せっかく二人でドイツの家まで出向いてやったというのに…
「あー…わりぃなぁ…ちょっと今はヴェスト…」
出てきた白髪男は歯切れの悪い事を言って玄関口で通せんぼをする。
何だコイツ。
「ドイツどうしたの?風邪?」
「あー、いや風邪って言うか…」
「ヴェ!?まさか伝染病?!ひどいの?!」
「いやいや、元気ではあるんだけど…」
「仕事忙しいの?」
「それも…まぁいつもどおりっつか…」
あぁ、なんかイライラする。
「いいから通せコノヤロウ!!」
むかついたので、いつもはなるべく関わらないようにしているプロイセンに文句を言って、横をすり抜けようとしたのだが…
「おっと」
あと一歩というところで腕をつかまれてしまった。
クソ、ジャガ1号だけあって、無駄に力が強い。彼は俺を外へと押し出して、背中でバタンと扉を閉じた。
「いやぁ…イタちゃんの兄ちゃんもせっかく来てくれたんだけど、わりぃな」
「なんだよてめぇ!客に茶もだせねぇのかよ!」
「あー…マジわりぃな…」
「わりぃと思ったら入れろよ!喉乾いたぞ!コノヤロウ!」
「ヴェー…」
「わりぃ…ほんと、とにかく…今は無理なんだよ」
バカ弟がいるせいか…それとも昔っから俺たちの土地を狙ってたせいか、彼は強く言いだせないようで困った顔をしながらしきりに頭を掻いている。
「えーっと…ドイツ、元気なんだよね?」
「あ、あぁ、それは保証するぜ」
「じゃぁこれ…」
弟は案外あっさりと入ることを諦めたようで、手提げ袋の中から大きな瓶を2つ取り出しギルベルトに渡した。
「これ、今朝作ったんだ。ドイツがほしいっていってたから」
「ん、おぉ!サンキュー。いっつもありがとうな、イタちゃん!」
頭をグリグリ撫でられて何が嬉しいんだか。
ニコニコとしている弟を睨んでいると、ふと視線を感じた。
「…なんだよ」
視線を向けると、色だけはキレイな赤と目が合う。
「いや…なんか顔赤くねーか…と思って」
「えッ、兄ちゃん熱あるの?!」
「ねぇよ!!!別に普通だ!!」
おでこに触ろうと手を伸ばす弟の頭を手で押しのけようとする…が、弟はその指の間から俺の顔を見て「本当だ!」と驚いたように声を上げた。
「兄ちゃん顔が赤いよ!」
「うっせ!熱なんかねぇっていってるだろ!!」
執拗に手を伸ばそうとする弟。ほんっとうっぜぇ…とか思ってたら…
「おい、何だよ!」
ペタリと横からプロイセンの手が俺の額にあてられた。
腹立つな!コノヤロウ!
「んー…熱はねぇみたいだな」
「だから無いっていってんだろ!!!」
「でも顔赤いよ、兄ちゃん」
「だから…ッ!」
「熱っぽぃのか?」
また横から…いったい何なんだよッ!
「ここ数日あちぃんだから普通だろ!別に食欲がねぇわけでもねぇし、ちょっと体調崩してるだけだよ!」
「やっぱり!!!」
兄ちゃん、早く帰ろう!早く寝なきゃ!お薬!っとうるさい弟にうんざりする。
それでまたプロイセンの野郎もプロイセンの野郎で難しい顔で顎に手なんか当てやがって…、一体何なんだよ!
「プロイセン、俺たちもう帰るね!兄ちゃんを早く寝かせないとッ!」
「あ、あぁ、そうだな…」
プロイセンは引きつったような笑みを浮かべ、俺を見た。そして手をひっぱって早く帰ろうと急かす弟に聞こえないようにボソリと言った。

「ロマーノ、お前、しばらく此処にはくるんじゃねぇぞ」

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