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027  ファイト!

ベイガン
本編より昔。もちろんバッチリ正気。
カインより一回りとちょっとくらい上かなってイメージで。
実はめっちゃいい男じゃねぇの?!って思ったりしてる。

筆の進みが悪くて…文章がなんだかまどろっこしい。すみません。
あと読み返してもない。ほんとひどい。

バアアアーーンと、蹴りやぶかんばかりに開いた扉。
詰所で読書に居眠り槍の手入れ…と、各々好きに休息をとっていた竜騎士の面々は驚いて扉の方を見、そこに立っている人物を見た瞬間、すっ転ぶような勢いで立ち上がりビシッと敬礼した。

「…ご苦労」

不機嫌そうに、そして鷹揚にその人物が言葉を返すと、騎士たちの中からサッズという騎士が一歩前に出た。
「ベイガン殿、わざわざこのような場所まで足をお運びいただけるとは…今日はどのような御用で?」
浅黒い肌をしたすばしこそうな彼は青竜騎士団団長のカイン=ハイウィンドの副官だ。
人によっては生意気、陰険とみられる傾向のある彼の言葉にベイガン…近衛のナンバー1は渋い顔をしながら詰所を見渡し「カインは?」と聞いた。
「団長ですか?」
尋ねられたサッズはベイガンの態度に気を悪くした様子もなく返すと騎士たちを見渡した。そして居並ぶ騎士たちの一人が奥の部屋の方をちらちらと見ながら目配せしているのに気づくとハァ…とため息をついた。
詰所で休息をとっている騎士達は別にして、カインを含む他の騎士たちはとっくに勤務についていなくてはならない時間帯だ。
その勤務中のはずであるカインが奥の仮眠室にいるということは…つまりそういうことだろう。
「あー…少々お待ち下さい。すぐに呼んできますので…」
うんざりしたようなサッズは、ベイガンに向かってペコリとお辞儀をすると奥の部屋へと向かった。
残された騎士たちは立ったままのベイガンを見ると、慌てて彼のために椅子を用意し、紅茶に菓子にと次々に並べ立て、壁際に直立不動になった。
近衛の団長であるベイガンはいうなれば軍部の総括でもある。また大貴族でもあるベイガンは、同じ軍属だからといっておいそれと気軽に話しかけられるような人物ではない。
そのベイガンは温厚で紳士だと評判が高く、竜騎士の中でも彼に良くしてもらった記憶のあるものは多く人気が高いのだが…それが今日の不機嫌はどうしたことか。
もしや何か自分たちに不手際があったのか、それとも軍部内で派閥争いでも…。
ベイガンの不機嫌そうなオーラを前に、否が応にも騎士たちの緊迫感が増す。
シンとした室内、空気が重みを増す中…突然『さっさと起きて下さい!!!』と奥の部屋から副官の怒鳴り声が響き渡ると、緊張していた騎士たちは思わず顔を赤くしうつむき、逆にベイガンは硬かった表情を少しだけ柔らかくした。

5分ほど経って少しだけ空気が軽くなった中ようやく現れたカインは一応竜騎士の正装をしていたのだが、彼の表情は精彩を欠いておりひどく疲れているようだった。
カインは副官のサッズにしゃんとしろとでもいうように睨まれ、眉間の皺をこするとなんとか笑顔らしいものを作ってベイガンを見た。
「これはベイガン殿。わざわざこのようなむさ苦しいところに足をお運びいただけるとは…何か問題でもありましたか?」
「あぁちょっとな…それよりどうしたんだ?ずいぶんと疲れているようだが…」
「はぁ…ちょっと…あぁ、場所を変えましょう。こちらへどうぞ」
そういってカインは詰所に設けられた応接間へとベイガンを導いた。
二人を見て騎士たちはようやく緊張をときほぅっと息をつき、一体何のようなのだろうかと小声でうわさ話を始め、そしてサッズは大あくびをしてカインのいた奥の部屋…仮眠室へと入っていった。

 *

「それで?一体どうしたんだ?やけに疲れているようだが」
詰所に来た時には、完全に頭に血が上っていた様子だったベイガンだが、ここにきて落ち着きを取り戻しており、穏やかにカインに尋ねた。
「はい…ちょっとセシルが…」
「セシル?」
「昨夜…ちょっと剣を合わせようと言われまして…」
その言葉に「あぁ」とベイガンは小さく肩を震わせて笑った。
ベイガンは二人がまだ少年だった頃から知っている。つまり、彼らが親友であり、よきライバルという関係を築いていることも重々承知している。
互いにとても負けず嫌いな二人は互いに切磋琢磨し、今では双方が歴代最年少の団長職についている。そんな二人が剣を合わせれば…大体どのようなことになるかは予想がつく。
「一体、何時までやっていたんだ?」
「さぁ…でも、気づいたら陽が」
「…まったく。お前らは。それで?今回はどちらが勝ったんだ?」
「それはもちろん………引き分けです」
ひどく面白くなさそうに言うカインを見てベイガンはくつくつと笑った。
彼らは大抵引き分けるのだ。もちろんどちらかが勝つこともある。だが、すぐに負けたほうが取り返し、そして勝ち越したかと思えば、また負けたほうが取り返す。
「けど…あと少しだったんですよ」
笑ったことをどう取ったのか、カインは言い訳をするように言った。
「あぁ、きっとセシルもそんな風に言うんだろうな」
「……かもしれませんね」
カインはやはり面白くもない顔をして頭を掻いた。
「それで…一体どのようなご用ですか?貴方こんな場所に来るなんて珍しいじゃないですか」
「あぁ…そうだな」
本来の目的を聞かれた瞬間、ベイガンの眉間にシワが刻まれる。
「ちょっと困ったというか…はぁ…少し情けないことがあってな」
「情け無い?」
「あぁ、私の所属する近衛兵がどのようなものかは知っているだろう」
「はぁ…」
バロンの近衛兵は、貴族の子息たちの花形。
女性たちにも人気の高い。もちろん戦闘能力は高い…とされているが、城を警備するという名目上、外への戦いへは余程のことが無い限り出ることがない。
つまり攻め入られることがなければ出番のない近衛は、戦わない事こそが名誉とされるような職業であり…
「あぁ…つまり…彼らが訓練に身を入れないと…?」
先を読んでカインが言うと、ベイガンは口元を歪めた。
「あぁ…相手は名のある貴族ばかりだからな。少し甘やかし過ぎたのかもしれん」
「というと?」
「近頃は朝の訓練に姿を表せばいい方だ」
苦々しげに言って、ベイガンはドンっとテーブルに拳を叩きつけた。
「その癖、夜会には欠かさず出て社交がどうのと…」
「まぁ…それは貴族としては正しいかもしれませんが、近衛としてはひどいですね」
「だろう?今朝も今朝だ!やつら何か話しておると思ったら、執政についてごちゃごちゃと…!もちろん、そういうことに感心を持つのは構わん!領地争いに派閥争い大いに結構!コネが欲しければ作ればいい!だが、訓練の時にする話か!」
バーンっとまたテーブルを殴りつけるベイガンに、カインは目をぱちくりさせて身を引いた。
「叱りつけて剣を合させっればどうだ!あれなら軍学校の生徒の方がどれほどましか…ッ!」
「そうとう貯めこんでますね…」
ぼうっとつぶやくいたカインは、ベイガンに殺気を帯びた目で睨まれ慌てて目をそらした。
「あー…えっと、つまり、竜騎士団と合同演習を行いたいと?」
「もっと率直に言えば、やつらの無駄に高いプライドをへし折ってもらいたい」
真剣な目にカインは「その気持ちはわかるが…」と小鼻を掻いた。
「うちのものじゃ無理でしょう」
「何故だ?竜騎士でも精鋭と謳われる青竜騎士団なら造作もないことだろう」
「あぁ…それは…まぁ近衛の状態がベイガン殿のおっしゃる通りならご希望に添えることもできると思います。ですが、おそらく無理でしょう。っというのも、我々青竜騎士に所属するものはさほど地位の高くない貴族…もしくは貴族ですらない市民出ばかりです」
その彼らが近衛に剣を向けたところで…
「まぁ、勝つことくらいはできるでしょうが…ベイガン殿の望みには添えそうにありません」
青竜騎士の面々はいずれも武勇に傑出したものばかりだ。
だがその彼らにも家族や友人、その他付き合いというものがある。
無論、カインが命令すればやるだろうが…正直、部下の立場が悪くなるような命令は気が進まない。
「そうか…」
その辺りはベイガンも納得が言ったのか、強くは言わず頷いた。
「しかし…だとするとどうするか。いっそ陛下に言って天覧試合でも開催してもらうか」
「なるほど、考えましたね。ですが、それよりももっと簡単な方法があるでしょうに」
「ん?なんだ?」
「わかりませんか?俺たちのように貴族だ一般市民だと全く気にせず、自分がやりたい事を後先考えずにやってしまう連中。殆どが後ろ盾もなく、天涯孤独なヤツばかりの集団」
もっと言えば、俺が今朝方まで手合わせをしていたやつが率いている部隊なんですがね。
カインの言葉にベイガンは少し考えニヤリとした。
それを見てカインは少し慌てる。
「って…あの、半分は冗談ですからね?あいつらはマジで加減を知らないし…って、ベイガン殿?聞いてますか?」
「あぁ、聞いている。半分は本気なんだろう」
「いや、そういう意味ではなくてですねッ!」
立ち上がったベイガンを止めようとするカインに彼は「大丈夫だ」と自信満々に言い放った。
「殺させはせん」
「殺…って…あの…」
「それにセシルにもちゃんと同席させる。それで何の問題もなかろう」
「いや…それはどうかと…」
「そんなに近衛が心配ならばお前も一緒にくればよかろう」
「え…」
それは確かに心配だが同席するのも嫌だ。
そんなことをすれば、あとで近衛の奴らから睨まれることになりかねない。
カインとしてはその程度痛くも痒くもないが、無駄に嫌われるような事をする趣味もない。
嫌そうなカインをベイガンは笑い、「勝負がついていないのだろう?」とニヤリと笑った。
今朝方までかかって勝負をしており…そしてそれが引き分けに終わったカインとしては、その言葉は痛かった。
頭の後をカリカリと掻くカインはしばらく考えた後…「仕方が無いですね…」と渋々立ち上がり、意気揚々と歩き出したベイガンの後をダルそうな足取りでついていった。

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