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神様が邪魔をする

天使の続き。
ただし、続きを書くまでに随分間があいちゃったから、少しテンションが違うかも。
続けて読む場合は、一度立ち上がって深呼吸をし、気持ちを入れ替えた上で読んでほしい。
殺し屋 っていう設定上、そういう描写とかもろもろ出てくる。
アウト臭い人は見ないでくださいませ。

朝、俺の部屋に泊まっていった彼は、俺が三年の間集め続けた“ギルベルト”が関係していると思われる事件とその背景についてスクラップした資料に目を通していた。
彼を泊めた部屋は資料室にしておいた部屋だったから、勝手に持ちだしたのだろう。
別に見られて困る資料はおいていなかったはずなのでそれは構わない。
それにしても…本当に…ルートヴィヒだ。
3年も音信不通にしていたルートヴィヒ…。
背は俺よりも高くなっているし、体に厚みも出ている。高かった声だって低く渋いものになっていて…だが、金髪に薄いブルーの瞳はそのまんま…どこか突き放すような話し方も相変わらずだった。
昨日は俺の涙腺が崩壊してしまいほとんど喋る事が出来なかったが…こうして陽の光の下で見ると…なんだか感慨深い。
あの可愛げのなかった…でもやっぱり可愛かった“弟”が、知らない間に青年へと変わっていた。

ぼうっと後ろ姿を見ていると、気配に気づいたのかルートヴィヒが振り返って目を細めた。
「おはよう」
「ん…あぁ」
「コーヒーでいいか?」
「カプチーノ」
「わかった」
三年のブランクなど無かったかのようにごく自然に交わされる会話。
くすぐったいような気持ちで俺はルートヴィヒとすれ違い、彼の座っていた向かいに腰をおろした。
テレビのリモコンに手を伸ばそうか、それとも新聞にしようか…。少し考えて、ルートヴィヒが引っ張り出してきた資料の一部を引き寄せた。
“テレビ局爆破事件”…まず目についたのは、そんな見出しのついた新聞記事だった。
死者12人。自爆犯が1人。
イスラム原理主義の過激派が起こした事件は、結果的にはギルベルトとは一切関連がないと判断を下したものだ。
だが関係が無いと判断するまでにはずいぶんと時間を掛けた事件だった。
何しろそのテレビ局では事件の翌日には、献金問題が浮上していた政府高官が現在の政治と宗教のあり方について討論を交わす予定になっていたからだ。
当時は今ほど手馴れていなかったし、コネもなかったから調べ上げるのにはずいぶんと苦労をさせられた…。
後々よくよく考えれば、死者の中に高官が含まれていないのだから、ギルベルトの仕事ではないということは分かりきったことだったのだが…。
「本当に…ずいぶんと探してくれたようだな…」
そう声を掛けられて目をあげると、ルートヴィヒがカプチーノを手に立っていた。
「まぁな…」
ぶっきらぼうに答えて記事を放り出しカップを受け取ると、彼はすまなそうに顔をして向かいの席に座った。
「それにしても本当にでかくなったな。身長は何センチくらいなんだ?」
「さぁ…前に測ったときは175だったが…」
もっとあるに決まってる…と思ったが、俺の身長に話が及ぶと面白くないので「そうか」とだけ返した。
彼のいれてくれたカプチーノは俺好みでとても甘めに作られていた。
ほぅっと熱くなった息を吐き出しルートヴィヒの方に目を向けると、彼は顎を手でささえるようにしてまたスクラップに目を落としていた。
「なんか面白い記事でもあったかよ」
「ん、あぁ。すごい情報収集能力だな…と。とても細かく調べてあるし、ぱっと見じゃ無関係と思われるような…無視されてしまいそうな事柄についてもよく調べられている。情報収集だけでなく、分析についても申し分ない」
「なんだよ…偉そうだな」
誉められた事は嬉しいが、彼は俺よりも年下。手放しに喜べるほどには、俺と人間は出来てない。
「すまない。まるで俺の方が専門家のような口を利いたな」
「いや…」
俺は気恥ずかしくなって視線をさ迷わせ、ふと彼が何枚かの記事を別に分けていることに気づいた。
「それは?」
よく考えることなく疑問を口にするとルートヴィヒは「これは…」と言葉につまった。
その表情を見て、しまった、踏み込む話題ではなかったと思ったが、口から出てしまったものは取り返せない。今からでもごまかして別の話にもっていくべきか…と考えていると、彼はその記事を俺の方に差し出した。
「見ていいのか?」
「あぁ、大体、お前のあつめていたものだろう」
俺は最初の頃…ルートヴィヒが失踪した直後の辺りはギルベルトが関わっているかいないかにかかわらず事件性のある記事は全てスクラップしていた。そのおかげで仕事の幅が広がり、今もずっとギルベルトと並行して事件性のある記事は個人的にデータベースに残すようにしているのだが、彼が俺に寄越した記事はそのギルベルトとは関係ない殺人事件のものだった。
俺が過去にさかのぼって調べた過去のコピー記事が三枚…と、比較的最近スクラップした記事が一枚。
最初の記事…一番古い記事は、幼い女の子が某国に家族と旅行に来ていた時に殺された物。
二枚目は、画家を目指していた学生が運河に浮かんでいるのが発見された物。
三枚目は、モデルをしていた女性が高層ビルの屋上から転落死した物(報道当初は転落死とされたが、後に落とされた時にはすでに殺されていたと判明)
そして最後、比較的最近のスクラップのものは、強盗をした男が刑務所を出た数日後、観光客を満載した客船で首を切断され発見されたものだ。
どれも当時は話題になった事件…しかし、モデルの事件別としてほかはすぐに他のニュースの陰になり報道されなくなった事件だ。
「これが?」
事件の顛末は曖昧。共通性を見いだせなかった俺がルートヴィヒに尋ねると、彼はひどく真剣な目をして「少し、調べてもらいたいことがある」と言った。

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