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Full throttle 40-4

読み返してないけど…。

「呼ばれて飛び出て~ってゴキゲンな雰囲気じゃないみたいだね」

名前をつぶやいてすぐに現れた玲治はエプロン姿。
「なにこれ、最高だね」
地下室を見回してペロリと唇を舐める。
その彼の目は赤々と輝いており、顔には外に見える肌には青白い線が幾筋も光っている。
彼はバージルの呼び出しを何か重要な出来事が起こったのだと判断し、人の面を剥ぎとってきたらしい。
「悪いな」
「ううん。別に。ダンテも静かなもんで暇をしてたところだよ。それにしても…やっぱはずれ?」
鼻をひくつかせる玲治。
きっと彼の鼻でも悪魔の臭いを嗅ぎつけることができないのだろう。
つまらなそうな顔をする玲治だったが、バージルが床の傷を見せると目付きが変わった。
彼は先程バージルがしたように汚れた床に躊躇なく膝をつくと、傷に指を伸ばし文字をなぞる。
「読めるのか?」
「いや…だけど、この文字…ターミナルに刻まれた文字に似てる」
「ターミナル?」
バージルの問いには答えず玲治はしばらく考えるように指で刻まれた文字をなぞり、散らばった汚物を払っていく。
「うーん…」
そうすると、その文字がわずかに婉曲…いや、円を描くように刻まれているのがわかった。
玲治は「邪魔、邪魔」と言いながら、散らばったものものを払い、時には消炭にしてその文字をたどっていく。
そして円が閉じると、その円にかこまれた中にあるものもキレイに払ってしまった。
「ちなみに…」
玲治は縁の淵にしゃがみ込んで「俺を呼び出した目的は?」とバージルに聞いた。
「…大体わかっているとは思うが、此処に異常を送っているものを特定したい」
「バージルさんが考えるにはこっちは被害者ってことだよね」
「あぁそうだ。確信はないが…どうもこれは“封じよう”としたもののように見える」
何かを呼びだそうとしたものではなく、呼び出されようとしているもの…それに引き寄せられているものをなんとか封じようとして素人がデタラメに施術したように見えるとバージルは言った。
「あまり気の強い男ではないようで、精神が参ってしまっているようでなんとも言えないが…」
「うん…。たぶん、それで合っていると思うよ。…で、向こう側の…つまり黒幕?は大したことがない…と」
「あぁ、もう少し力があれば、俺でもたどれたかもしれないが…」
「うんうん。で、俺が警察犬の役ね」
「すまないな」
「はは、別にいいよ。寧ろ、頼られて嬉しいくらい」
玲治は人の子らしい微笑みを見せ、「けど、俺じゃ無理みたいだ」と肩を竦めた。
「そう…か」
肩を落とすバージル。それを見た玲治はあわてて「でも」と付け加えた。
「大丈夫。うちのケル(ケルベロス)ならたどれると思うよ」
「…そうか」
「でも、力を貸せるのは此処までね。一応」
ちょっとだけ困ったような顔をして玲治は言った。
「ほら、ちょっと、ね?俺には制約があるし。一応道くらいは作れるけど、その先はバージルさん一人でってことでいい?」
「あぁ、それはもちろんだ」
そこまでは迷惑はかけられないというように生真面目な顔でバージルは頷く。
「そう、ならよかった。でも気をつけて。向こうはたぶんちょっとおかしな事になってると思うよ」
「おかしなこと?」
聞き返すと玲治は少し困ったような顔をした。
「制約に引っかかるというのなら…」
「あ、えーっと、まぁそうなんだけど…」
玲治はじれったそうに頭を掻く。
悪魔であるから仕方がないといっても、あれもこれも出来るわけではない自分の身が歯がゆくてたまらないのだ。
「えーっと…あー…ヒントね」
彼は言葉を何度も選び直しながら口を開く。
「あのね、向こうはここ2ヶ月ほどこちらには直接アクセスしようとしてない」
「そう…なのか?」
「うん。ここに漂っているやつらは、残存思念みたいなものに引き寄せられてきた小童だよ。だけど向こうは…あー…つまり、バージルさんが楽しめるようなかんじじゃないかなってこと」
最後の方は駆け込むように一気に言い切った玲治は、ハッと息をついた。
そして指でカリカリとこめかみのあたりを掻いた。
その様子がおかしくてバージルが思わず小さく笑うと、玲治は照れたように笑い「じゃぁまぁ…」と右手をまっすぐに上げた。
「ケルを呼ぶよ」

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