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空論に暴論を加えて

読めばわかるとおもうけど…ひどいのは覚悟して。

屋敷に住むようになって三日で家事・家計の掌握に成功したムキムキシンデレラ事ルートヴィヒは、父が亡くなっても、継母(父?)と二人の義姉(兄?)の意地悪(グータラ)にも負けず、毎日を規則正しく逞しくムキムキと生きている。

 ※

「フランシス!!料理を作ってくれるのはいいが、これでは予算オーバーだ!!」

今日もまた朝からムキムキシンデレラ・ルートヴィヒの怒声が屋敷を震わせる。
「ちょ、おま、ちゃんとお母様って呼べって言ってるだろぉ?」
「うるさい!それよりこの料理はなんだ!!お前の国は朝は質素に済ませるもんではなかったのか!」
「だってよー、この間、アーサーにコンチネンタル・ブレックファーストとかバカにされたんだよ~」
くやしいだろぉ?
アーサーは近くに住む屋敷の奥様(?)で、フランシスとは昔から仲が悪いらしい。
「かもしれんが、これはやりすぎだ!朝からフルコースなどなにを考えている!うちは父がいないから、稼ぎがないのだぞ!!」
「えー、まだ貯金あるでしょー?」
「うるさい!今はあってもお前のような調子で使っていたらすぐに枯渇するだろう!!今日はもう仕方ないが、これからは一切料理は禁止だ!わかったな!!」
「えー、俺の料理うまいのにー」

「だまれ!」

ムキムキシンデレラは、継母を一括すると、次は二人の姉を起こしに行きます。
二人の姉は、いい年をして職がない穀潰しです。
一人目の姉はアントーニョ、彼女(?)はもう一人に比べると比較的マシです。アントーニョは裏庭で野菜を作るのが趣味で、家計を少しではありますが助けてくれます。
しかしもう一人の姉、ギルベルトはダメです。ダメなところをあげるとキリがないほどダメです。
昨日はアーサーのとこのお嬢さんマシューを苛めて泣かし、マシューの姉のアルフレッドと大喧嘩。
その前は近所の音楽家所蔵のヴァイオリンが金になるとアントーニョを巻き込んで盗みに入り、危うく警察沙汰。もしかしたら石油が出てくるかもしんねぇ…といって、庭に大きな穴をほったり、鏡に自身を映して「俺様かっこいー」と喚いたり…。
狩りに行くと馬車馬を駆って森にでかけ、巨大な熊をとってきたのは…まぁいいでしょう。

「起きろ!!二人とも!!」

二人が共同で使っている部屋に入り、ルートヴィヒは怒鳴りました。
しかし部屋の両側に置かれたベッドに眠る二人はぴくりとも動きません。
ギルベルトは仰向けに腹をだしてグースカ。
アントーニョは毛布を丸めたものに抱きついてグースカ。
顔はあまりにていませんが、こんなトコロはそっくりです。
二人のそんな様子は見慣れたものとはいえ、ルートヴィヒの神経はザリザリと削られます。
ルートヴィヒは取り敢えずとアントーニョの方に向かい、彼女(?)の肩を揺すりました。
「アントーニョ!起きろ!朝だぞ!」
「あかん…そんな所に通天閣はたてられへん…」
「どんな夢をみてるんだ!いいから起きろ!」
「ん?かに道楽?それなら7:3で…」
わけのわからないことを言い続ける姉に、ルートヴィヒは少し考え、
「そういえば、先ほど庭掃除をしている時にトマトの苗に虫が…」
ボソリと呟いた途端、
「あかん!許さへん!!」
アントーニョは飛び起きました。
そして慌ててベッドを降りようとしてルートヴィヒに顔面をぶつけ、「誰やこんなとこにauの基地局建てたんは!」と文句を言い部屋から飛び出していきました。
「はぁ…」
さて、残るは一人です。
もういっそ寝かせとくか…その方が静かだし…なんて思わないこともありませんが、夜中に起き出して騒がれてもたまりません。夜中にうるさくされては眠れないのはもちろんですが、近所の人達にまた警察を呼ばれてしまいます。
「起きてくれ…ギルベルト」
体を揺すると「ぐごっ」とギルベルトはブタのように鼻を鳴らしました。
「兄さ…じゃなくて、姉さん、朝だぞ。頼むから起きてくれ」
「ん、ルートヴィヒ?」
この程度では無理だと思いながら掛けた言葉に反応があり、ルートヴィヒはやればできるんじゃないかと喜びました。
「そうだ。早く起きてくれ、今日は母さ…」
「ちょ、よせって、ルートヴィヒ…、俺たちにはまだはやいって…」
「ん?兄さん?寝言か?」
「ばか、脱ぐなって…どこ触ってんだよ…ルートヴィヒはすけべだなぁ…」
ニタニタ笑いながら呟かれる言葉にルートヴィヒの血の気はざっと引き、全身に鳥肌が立ちました。
一体なんの夢を見ているというのでしょう!汚らわしい。
ルートヴィヒはどこからか取り出したフライパンを構えると…

*

「なんか頭いてぇ…」

大きなたんこぶをこさえたギルベルトが最後に席につき、ようやく朝食が始まりました。
テーブルにこれでもかと並べられた料理は、トマトとモッツァレラのバジルソース、チーズの盛り合わせ、焼き立てパン、そら豆の冷製スープ、野うさぎの狩人風、若鶏のガランティーヌ、舌平目のムニエル、真鯛のポアレ、旬の野菜とカツオのジュレ寄せ、そしてデザートにはクレームブリュレ。
豪華な夕餉…といった光景だが、今は朝。
アーサーにコンチネンタルブレックファーストと馬鹿にされた…とはいっても、フランシスをはじめ誰もが大陸の出身です。朝からこんなに食えるような胃袋は残念ながら持ち合わせてはいません。
ルートヴィヒに睨まれて、三人は仕方なくちょこちょこと手を伸ばすものの…これは昼あたりまで食事はかかりそうでした。

「あ、そうだ」

食事が始まってしばらく、フランシスは突然そう思い立ったように言うと席を立ち、戸棚の中から金の縁取りのしてある一通の封筒を取り出し戻ってきました。
「じゃじゃーん」
「ん?なんだよそれ」
「なんでしょー!」
「なんやろぅ?あ、今年の夏のバカンスの招待状とか?」
「惜しい!招待状はあたってるんだけどね!!実はこれ、お城のパーティの招待状でーす」
フランシスの言葉にルートヴィヒをはじめとした三人から「おぉ」っと歓声が上がります。
「なんでもそのパーティで、今年二十歳になる二人の王子様の婚約者を探すらしいよー」
「二人の王子というと…ロヴィーノ王子とフェリシアーノ王子か?」
ルートヴィヒの言葉に「そうそう」とフランシスは頷きました。
「残念ながらルートヴィヒあてはないんだけど…」
「そんなことは構わん。しかし、ではフランシスとギルベルト、アントーニョは呼ばれているわけだな?」
「うん」
「やっべー。お城とかめっちゃくちゃうまいもんあるんじゃねーか!?」
「なんやー、ルートいかへんのかぁ…」
「こっちの籍に入ったって役所には提出してるんだけど、招待状は待ち合わなかったみたいなんだよね」
「残念やなぁ~…」
「いや、それはいい。だが、姉さん…」
ルートヴィヒは向かいに座っている姉二人の方を真剣な目で見つめました。
そこにはなにやら強い力が宿っています。
「な、なんだよ」
「こ、こわいで?」
「これはチャンスだぞ」
「チャンス?」
「そうだ。姉さんたちはこれまでロクに働きもせず、嫁の貰い手もないときている…。今度のパーティで、王子二人を射止める事が出来れば…」
「はぁ?そんなんできるわけねーだろうが!」
「そやでー…俺らお姫様とか柄やないしぃ」
「いや!やるんだ!!!なぁフランシス!」
「えっ、えー…それはちょっとうちの娘たちにゃぁ無理じゃないかなぁ…なんて」
顔をひきつらせるフランシス。
確かに…二人の娘、ギルベルトとアントーニョは顔は整ってはいるのですが、しかし、お姫様というような柄ではありません。
「いや!大丈夫だ!!!お前らならやれる!!!死ぬ気でやればなんとかなる!!!意地でも口説き落として、モノにしてこい!この際フランシスでもかまわんぞ」
しかし、ルートヴィヒは聞き入れません。
「「「えええ~…」」」
シンデレラは必死なのです。
「俺はこの家の将来を本気で憂いていたんだ!お前ら三人ともロクに働きもしないで家でぐーたらぐーたら…俺が働きに出ようにも、お前ら三人を残して働きに出るわけにもいかんし…そうこうしているうちに貯金の残高はどんどん減っていく…」
ぎゅっと拳を握りしめるルートヴィヒは鬼気迫っています。
青い瞳が、今日は心なしか赤く光っているようにも見えます。そして金の髪の間にはねじ曲がった二本の角が…見えないこともありません。
「そこに飛んで湧いたこの縁談話…!これを活かさずなんとする!!姉さんたち二人…いや、一人でも王子に気に入られれば、我が家は安泰だ!!!」
「えーでもよぉ…」
「でももなんでもない!!!このままでは数年後には没落する運命なんだぞ!!それに、姉さんたちは王子と結婚すれば毎日贅沢三昧!!ついでに俺はも楽になるし…全く素晴らしいじゃないか!絶対にものにするんだ!わかったな!!返事は…Jaしかみとめん!!!」
ギロリと三人を睨みつけるルートヴィヒ。有無を言わせぬ…とはきっとこういう事をいうのでしょう。
睨まれた三人は体を震わせながら「ja」と力なく返事をしました。

 *

さて、魔法使いの出番が一切なかったこの物語…はたしてどうなりますやら…。

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