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Full throttle 40-3

読み返してないけど…。

「断定はできませんが…どうやらあなたの息子さんは被害者のようですね」

バージルが地下からのぼり一先ずの報告をすると、老人は驚いたような顔に少しだけ安堵を見せた。
「ひ…被害者、や、やはり、その…なにかおかしな宗教かなにかに…」
「いえ、そういったものではなく…個人的なもののようです」
「個人的な…?」
「えぇ」
バージルは老人のすがるような目からそっと視線を外した。
「もちろん断定はしませんが…個人的な攻撃をうけている…もしくは実験材料にされている…そんな感じがします。…何か息子さんが恨みを買っているというような覚えは…?」
ダンテでは到底できないような丁寧な話し方。
老人は少し考えるように間を置き、首を横に振った。
「仕事上でトラブルになったとか、親戚筋でどうしても合わない人間がいるとか、昔彼にこっぴどくふられた人物がいるとか…」
根気強く具体例をいくつか上げてみる。
老人はそれでも芳しい表情をしなかったが…記憶をたどっている途中に何か引っかかるものがあったのかもしれない。「あっ」と小さく声を上げた。
「何か心あたりが?」
「いや…しかし、コレは関係ないかと…」
「判断するのはこちらでやります」
まるで弁護士か医者のように言うバージルに、老人もそれらの職業の人物に対するように「わかりました」と重々しく応じた。
老人の話によると、彼の息子には昔結婚していた女性がいるらしい。
黒髪のきれいな女だったが、高圧的でどこかおかしな女だったらしい。
彼らの間には一人娘が出来たのだが、その直後に離婚。
息子は、子供に会いたいと言っていたのですが、彼女は認めず…
「それきり音信不通です。よくある話だといえばよくあるのですが…」
「気になるんですね?」
「はい…」
力なくうなづく老人にバージルは彼女の写真を探してもらえるように頼んだ。
二階に昇った老人がまもなく持ってきたのは、彼らの結婚式の写真だった。
「あいにくこんなものしかなくて…」
「いえ」
受け取ったそれにはライスシャワーを浴びながら立つ新郎新婦の姿があった。
男は先ほどみた痩せぎすで病的な男とは全く違って…とても健康そうに見える。
そして女のほうは…ひっそりと微笑んでいる…美しいが…たしかに陰気そうな女だ。
調べる価値はあり…。
そう、バージルは判断したが、いかんせんその彼女が音信不通となっているのでは手の出しようがない。
彼は悪魔狩りであって、人探しのプロではないのだ。
「他に何か引っかかる人物は?」
と、聞いては見たものの、老人は心当たりがないと首を横に振った。

バージルはその後、もう一度地下に潜った。
「ふむ…」
どうしたものか…。
バージルは考える。
嫌な空気、嫌な気配、幽鬼、暗鬼、死霊、怨霊…しかし、決定的なものが此処にはない。
バージルは自身のズボンが汚れるのも気にせず、血に濡れた床に膝をつくと汚物を手で掻き分ける。
するとそこにはナイフで削ったような痕…。
ゆっくりとなぞり…一つ、また一つと探していく…。
「文字…か?」
角張ったナイフの削り痕で作られた文字は…しかし、バージルには全く読めないものだった。
それは変質的なほどにあちこちに書かれており…
バージルは渋い顔をして、息をついた。

「少し…手伝ってもらうか…」

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