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透かされた真心

ちょっとEUの時事を反映させて。
簡単に言うと、ギリシャとスペインとイタリアはEUの問題児(落ちこぼれ的な意味で)。
優等生はドイツとフランス

その日、ドイツは朝から何か菓子をつくろうとキッチンに立っていた。
ケーキ系か、クッキー系か、それともゼリー系か…。
材料はある程度揃えてあるので、何を作ることにしても材料が足りないなんていうことは無いだろう。
黒いエプロンを着けたドイツは少し考え、本を参考にしようかと思った時、ピンポーンと来客を知らせるチャイムが鳴った。
一体誰だろう?
そわそわする犬たちをなだめながら玄関を開けると…。
「イタリア…?ロマーノも…」
イタリア兄弟が、何故かべそべそと泣きながら立っていた。
大戦中はよく見たが、ここ最近では見なくなった光景にドイツは一瞬あっけにとられ、次いで慌てた。
「ど、どうしたんだ!」
「ド、ドイツゥ~」
「チギー…ち、ちくしょう」
「なんだ、どうしたんだ!?転んだのか?事故にあったのか?あー、アスター、ベルリッツ、ブラッキーちょっと向こうへ行っていろ!」
大戦中のトラウマがうずいたのか、ドイツは二人が揃って泣いている光景に異様に慌てた。
「ヴェー…」
「ちぎーーー…」
「怪我は無いようだが、腹でも壊したか?それとも靴紐がほどけたのか?それとも…まさかフランスが何か…」
嫌な予感にドイツが顔を青ざめさせた時、
「違うよ、あのね…」
…とイタリアが回りくどくダラダラと話しだした。
その内容を短く要約すると、『財政難だから給料三割カットね☆』と上司に言われていたにも関わらず、生活費が底をついてしまったのだと言う。
困って上司に助けを求めたら『ドイツ君に助けてもらいなさい☆』と言われたので、ここまでやってきたらしい。
「兄ちゃんが新しいカーテン買ったからだよ」
「ちげーよ!お前が、冷蔵庫を閉めるの忘れて食材をダメにしたからだろう!」
「それを言うなら、兄ちゃんだってお風呂溢れさせちゃったじゃない」
「うるせぇ!それより、お前が財布落としたのが大問題じゃねぇか!」
どっちもどっちな事を言い合う二人に、ようやく落ち着きを取り戻したドイツは額に手を当ててため息をついた。

「それで…。次の給料日はいつなんだ?」
「えっとねー…」
「一週間後だコノヤロウ!」
「兄ちゃん、お世話になるんだから…」
「うるせー!俺はこんな奴の世話なんて、世話なんて…ちぎーっ!」
「あー…では一週間お前たちはここにいるということでいいのか?」
「ヴェ、お願いします」
「仕方ねーから世話させてやるぞ、この野郎」
イタリアはともかく、なんで兄貴の方は偉そうなんだ…と思いつつ、そんなことは昔からなので一つため息をつくだけでドイツはあきらめた。
幸い無駄に広い家なので、受け入れる部屋はある。それに二人くらい養ってもさほど懐は痛まない。…変わりに胃が痛みそうだが。
とにかくドイツは二人を預かる事にした。
手は掛かりそうだが、酔っぱらったバカ三人…あえて個人名は出さないが…の世話よりはいくらか楽なはずだ。

菓子作りを中止してドイツが客室を整えリビングに戻ってみると、テーブルには昼食が並べられていた。
メニューは、イタリアが打ったパスタとロマーノが手ずから育てたというトマトで作られたトマトスパゲティ。美味しいトマトはゼリーとしてデザートでも出てきた。
食事の後、ドイツが洗い物を済ませると三人で一匹ずつ犬を引いての散歩だ。(ロマーノは嫌がったが、彼を一人家に残しておくのに不安のあったドイツが無理矢理に引っ張って出た)
犬たちは珍しい人物(主にロマーノ)の登場に、興奮してしまって尻尾をブンブンふっている。
ロマーノは若干怖がっていたが、ドイツに弱みを見せたくないのか…それとも弟の前で情けない姿を晒したくないのか強がっている。ドイツはそんな様子のロマーノを気にしていつでもサポートに回れるように見張っていたが、そのうち慣れてきたのか公園につくとイタリアと二人は犬たちと一緒に子どものようにかけずり回って遊びだした。
どうも犬達がイタリア'sに合わせてやっている節があるが、あっちこっち駆けまわってゴロゴロと転がって楽しそうで何よりだ。
ドイツは彼らが遊んでいる間にレモネードを購入してやることにした。(もちろんそれをイタリアは喜んで受け取り、ロマーノはものすごく渋々といったように受け取った)
帰ってドイツが犬を洗う…というと、すっかり犬と友達になった二人も当然一緒にやると言い始めた。(ロマーノはイタリアに引っ張られてではあったが…)
本来ならば風呂場で一匹ずつ…という所なのだが、男が3人も入って犬を洗えるほどドイツの風呂場は広くはない。
仕方なくビニールプール(いつぞや兄のプロイセンが買ってきた)をふくらませ、庭で犬を洗うことにした。
庭にビニールプールを引っ張り出してホースで水を入れ…といった時点でこの先の展開はほぼ読めるかもしれない。
まずはイタリアが着衣のままプールに飛び込み、その飛沫を浴びたロマーノがドイツの手からホースを奪い、犬たちがワンワンと吠えながら駆け回り、怒鳴ったドイツに驚いたロマーノがホースを向け…

そして一時間後……

「全くはしゃぎすぎだ」
ドイツはソファで眠る二人にタオルケットをかけてやりながら苦笑した。
彼らの近くには結局シャンプーをしてもらえなかった犬たちも寝入っている。
ドイツ自身もつかれてはいたが、起きたら腹が減ったとだだをこねそうな二人だから眠るわけにはいかない。
味に五月蝿い二人(特に兄貴の方)だから、料理を振る舞うのは腰が引けるがやらないわけにもいかない。
そうだ、日本からもらったカレーのルーを使ってカレーにしようか。
材料は揃っているし安上がり。少々手抜きではあるが、サラダをつければいいだろう(もちろんポテトの)。
そんなことを考えていると、なんだか母親になったような気がしてドイツは少しげんなりとした。
つい最近もギリシャ・スペイン・イタリアの経済不安をEUで話し合っている時に『助けてやりなよ、お父さん』などとフランスに揶揄られたばかりだ。
それなら『お前はお母さんか』などと言ってしまい、散々フランスに絡まれた事まで思い出してドイツは苦々しく舌打ちをした。(会議の間じゅうずっとフランスはドイツをお父さんと言い、自分の事をお母さんと言っていたのだ)
だが、EUの牽引役として自分が期待されているというのは正直誇らしくあったりもする。
今回の件もイタリアがフランスではなく自分を頼ってくれたのは少なからず嬉しいことだ。
まぁ何はともあれ一週間。
この調子ならなんとか上手くやれそうだ。

…そう楽観し頬をゆるめたドイツだったが、翌日現れたスペインとギリシャを見て直ちにフランスに電話をかけた。

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