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ありったけの想いを込めて

普+仏+中 紹興酒風味 ロマにょ独添え
なんかサッカー女子で 日本がドイツに勝ったらしいよ。詳細はよくしらないけどね。

中国は上海。
繁華街にある大衆的な飲み屋。わいわいがやがやと喧しい店内の一角に一際うるさい男が1人…

「うおぉぉおお…っ!ヴェストォォ~」

紹興酒を片手に泣き叫ぶ銀髪の男はプロイセン。
その隣に座り、
「はいはい、泣かない泣かない」
泣き叫ぶプロイセンの背中を撫でながら、おざなりに慰めているのはフランス。
そして、
「おめぇらマジうるせぇある」
不機嫌そうな顔をしてチンゲン菜の炒めものをもって席についたのは中国だ。
ふつう彼らは一般人のいる場所では人名を使うことにしているのだが、今日は店が騒がしく他のテーブルの客の話なんか誰も効いていない事から国名を使って会話している。
「強い者が勝つ、これ当たり前ね。悔しかったら、次、頑張るね」
白い蒸しパンに角煮と先程のチンゲン菜を挟んで口に運ぶ中国。
“弱い者は負ける”とは言わなかったあたりは彼の気遣いか。
「あー、違う、違う。こいつが泣いてるのはそれじゃないんだよ」
「ヴェストォォ~うぉぉぉおお」
「ん?サッカーの話じゃねかったあるか?」
てっきり先日行われた女子サッカー。日本とドイツの試合でドイツが敗退した件が話題だと思っていた。そう不思議そうに首を傾ぐ中国に、「違うのよ」とフランスはオカマみたいに手を振って言った。
「まぁ、それが原因といえば原因なんだけど…」

 *

先ほど中国が言ったように先日行われた女子サッカーの試合で、ドイツは日本との試合に惜しくも敗れた。
どちらが勝ってもおかしくはない、とても素晴らしい試合だった。
しかし結果的にドイツは負けた。
負けたドイツは、きゅっと一度悔しそうに唇を噛みしめると、すぐに晴れやかな笑顔を見せて仲間たちと喜びを分け合う日本の元へ駆け寄った。
「ドイツさんっ」
「日本、強くなったな」
「は、はい。ありがとうございます」
「負けたのは悔しいが、お前に負けたのなら納得も出来る。おめでとう」
「はい」
ドイツが差し出した手を、日本は涙目になって握り返した。
「次の試合でも必ず勝ってくれ」
「あ、ありがと…う、ございます」
日本はドイツの手を両手で握りしめたまま90度がばりと頭を下げた。
これじゃどっちが負けたのだかわからない。
ドイツは苦笑しながら日本を慰めた。

そんな微笑ましい二人の様子をスタンドから見ていたプロイセンは、こうしては居られないと慌てて立ち上がり、選手控え室の方へと向かった。
兄であるプロイセンは、妹の負けず嫌いをよーく知っていた。
日本に笑顔を見せたのが精一杯の強がりで、本当は今にも泣き出してしまいそうなのをぐっと我慢していたのだということを。
兄としては今すぐに妹の元に駆け寄り、抱き締めて「お前は本当によくやった。自慢の妹だ」と誉めてやる義務がある。そして胸で思い切り泣かせてやらねばならない。
彼はスタンドで飲んだビールにちょいとばかりやられ、ふらふらしながら走って妹の元へと駆けつけたのだが…

 *

「そこで見たのは、泣いてる妹と妹を抱いて慰める彼氏ことロマーノの姿でしたぁってわけ」
「フランス~~~!」
何を面白がってやがる!
殴りかかろうとしたプロイセンだが、口に紹興酒を突っ込まれおとなしく椅子に座りなおした。
ビールにはべらぼうに強いプロイセンだが、どうやら紹興酒には少々弱いらしい。
「ふぐ…ッ」
「くっだらねぇある」
「だろぉ?」
「『ロマーノちゃんならヴェストを任せられるぜー』って言ってたの、誰か」
「プロイセンでーす」
ぎゃははっと笑うフランスに、プロイセンは恨めしそうな横目を送る。
「大体、分かりきってたことじゃねぇかよ、彼氏彼女になったらどうなるかくらいさぁ」
「うるせぇよ…。いざ目の当たりにするとぐさっと来たんだよ!」
「そのうちお前なんか見向きもされなくなるんだぜ~」
「うるせぇって!」
子育て失敗組のフランスとしてはココぞとばかりにからかう。
「しっかし、ドイツとロマーノねぇ。俺、応援はしてたけど上手くいくとは思ってなかったんだよね、正直」
「我もある」
「だろ?ロマーノっては好きな子には意地悪しちゃうタイプだし、ドイツは馬鹿正直だから相手の行動の裏…なんて見るタイプじゃないし」
「ヴェストは素直なんだよ!」
「でもまぁ性格はかたすぎるけど、いい女ってところは認めるよ」
胸でかいし。
付け加えられた言葉に、中国はブンブンとうなづいた。
彼は初めてあった時、ドイツのはちきれんばかりの胸の大きさに「アイヤー」と圧倒された一人である。ちなみに一緒にいた韓国は、胸を触ろうとしてぶっ飛ばされた一人である。
「いやぁ~…反抗期一つ無かったドイツがねぇ~…感慨深いねぇ~」
「反抗期ないなんて奇跡的ね」
「だけど、とうとうドイツも兄離れかぁ~」
「寂しくなるあるね」
「休みの日にはデート、デート…で、翌日休みの日なんかは『今夜は彼氏の家に泊まってくるから~』なんつって」
フランスの裏声にプロイセンの顔色がさっと変わる。
「湾にはじめて恋人出来た時のこと思い出すある」
「ドイツみたいなのはさぁ結構染まりやすいから、化粧とか持ち物とか今までとガラッと変わっちゃったりするんだよねぇ」
「そある、そある。お兄ちゃんからもらった香水はつかえねーあるぅとか言われたことあるよ」
ヨヨヨっと泣き真似をする中国、そしてそんな中国の肩を慰めるように叩いたフランスは気づいていなかったが…プロイセンの顔色は先程までの健康的なピンク色とは違って、青ざめている。
「ロマーノとかに買ってもらった服とかきちゃってさぁ。やらしいよなぁ」
「いやらしいある、いやらしいある」
「で『兄さんも恋人はつくらないのか?』とかいっちゃって」
「よけーなお世話あるよ」
「そのうち家にいつかなくなって…で、デキ婚」
「で…デキ?何あるか、それ」
「子どもだよ子ども。お腹ふくらませちゃって『兄さん、赤ちゃんができちゃった』ってやつ!!」
「あー…それで結「許さねぇ!!!!」」
それまでおとなしく聞いていた…と思っていたプロイセンが突然大声を出して立ち上がったことに、フランスと中国は驚いて彼の方を見た。
すると現役時代もかくやというような怒りの形相をしたプロイセン。背中には燃え上がる炎を背負っている。
二人はそんなプロイセンに思わず表情が引きつった。
「泊まり?子ども?結婚?そんなのお兄ちゃんは許しませんよ!ヴェスト!!!」
「うわっ、なにそれ、うざっ」
ボソッと漏らしたフランスをプロイセンはギロンと睨み、フランスはヒクッと変な声を喉から上げた。
「ま、まぁまぁ紹興酒でも飲んでおちつくといいね」
「いいや!!!こんなことしてる場合じゃねぇ…くっそ…ロマーノのやつ…俺の可愛い妹を傷物にしてくれやがって、ぜっっったいに許さねぇ…ッ!」
「いやいや、最初に交際したいって言った時認めたのはお前だろうが」
「それに、試合後に抱き合ってたなら今頃は…」
「な、なっ…ヴェ、ヴェスト…お、俺の天使が…ッ」
ガクンっと項垂れたプロイセンだが、すぐにガッと顔を合わせると
「こんなことやってる場合じゃねぇ…ヴェストーーーーーーォォォオオオオ!!!」
お兄ちゃんが今助けてやるからなぁ~~~~ぁぁあああぁぁああぁぁ…!!!
壮大なドップラー効果と共に、プロイセンは嵐のように店を出て行った。

 *

「あーぁ…じゃましちゃったかなぁ…」
残されたフランスが漏らすと、「そあるな」と中国は渋い顔をして言った。
「ナントカは馬に蹴られて…ってやつね」
「あー…悪いことしちゃったなぁ~」
「とかいって、顔がにやけてるあるよ」
呆れたように中国が指摘すると、フランスはハハハっと笑った。
「だって俺がドイツを口説いてもいい?とか言ったら、全力で拒否してきたのにさぁ~…ロマーノならいいなんてムカつくじゃない」
「それは日頃の行いが悪すぎるからあるよ。……あ、デザートに杏仁豆腐もてくるあるよー」
中国が手を挙げると、通りかかったチャイナ服姿の店員がニコリと笑ってうなづいた。
「ま、とにかく覚悟しておくある。ロマーノ、きっと怒るとこえーある」
「そうかもなぁ~…あいつ女の子相手には本気になるし…うん、やばいかも」
前にドイツのおしりを触ろうとしたとき、すっげぇ怖かったし…。
ブルリと震えるフランスを中国は小さく笑い「ところで…」と懐から何かを取り出し、それをフランスに見せながら言った。
「これ、災いを避けるお守りね。今なら安くしとくあるよ」

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