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原因は何だ?

独とロマ そしてその他大勢

「なんなん、その格好」

アントーニョは、現れた二人を見てポカンと口を開けた。

 *

今回の世界会議の会場はホテルから歩いて大体15分ほどの距離にあった。
ドイツはそれくらいの距離なら…と迎えの車に乗らず、歩いてそこまで向かうことにした。
いくつかブロックを曲がらなくてはいけないが、迷うような場所ではない。
通りの店のショーウィンドウを見ながら歩き、ふと前を見ると見慣れた“くるん”がみえた。
見慣れた…といっても、いつも見ている“くるん”とは微妙に位置と角度が違う。
あれは…
「ロマーノ」
後ろから声をかけると、ロマーノはビクンと震えてドイツの方を振り返り、そしてゲッというような嫌な顔をした。
しかしそのまま逃げ出すようなことはせず、おとなしくドイツが隣にやってくるのを待った。
これは珍しいことだ。
いや、ここまできてようやく成長したということか。
ドイツは少しだけ嬉しくなった。
「今日は珍しくはやいな」
「うるせぇッ、馬鹿弟が目覚まし時計を1時間間違えてたんだよ!」
「そうか…で、そのヴェネチアーノはどうした?」
「あいつは日本のとこに行った」
「そうか」
二人はなんとなく並んで歩き出す。
何か適当な話題はなかったか。出来れば仕事以外で…そんなことをドイツが考えていると、突然背中にドンッと衝撃を受け彼は驚いた。
「なっ…」
振り返ると…怒ったような形相でロマーノがドイツを見ていた。
どうやら先程の衝撃はロマーノが殴…いや、ロマーノが頭突きをしたものであったようだ。
「な、なんなんだ?」
「お前!歩くのはえーーんだよ!!!ちくしょうが!」
「え?…そ、そうか?」
連れがいるんだからちゃんと歩く速度をかんがえろ!と怒鳴られて、ドイツは「すまん」と素直に謝った。
そして慎重にロマーノの歩調と合わせて歩き出したのだが…
「だからはえーーっていってんだろう!!!俺がおいつかねーじゃねぇか!」
ゴスンっと今度は肩の当たりに頭突きを食らった。
「いや、今のはちゃんと…」
「うるせぇ!言い訳してんじゃねぇ!!!」
「む…」
かなり理不尽な事を言われているのはわかったが、ドイツは何も言わずに頷いた。
ロマーノは昔から取扱注意だ。
すでに嫌われているのは分かっているが、これ以上嫌われたくもない。
今度はロマーノよりも遅い足取りでドイツは歩き出した。
するとそれはどうやら合格点をもらえたようで、ドイツはロマーノよりも少し遅れて…いや、ロマーノに付き従うようにして歩き出した。
侍従のような自分の姿にため息を着こうとしたドイツは…
「今度はなんだ?」
少し前を歩いていたロマーノがピタリと足を止めているのに気付いて声を掛けた。
「ロマーノ?」
「チクショウ!」
「なんだ?どうしたんだ?」
「靴に小石が入った!!これじゃぁあるけねーじゃねぇか!!!!」
「……あぁ、もうなんなんだお前はッ」
ドイツは呆れつつも、道端に置かれたベンチにロマーノを誘導し座らせると、「ちぎー」と鳴いている彼の靴を脱がせて小さな小石をとってやる。
「さて、これでいいだろう」
「べ、別に感謝なんてしないんだからな!」
「なんだそれは…イギリスの真似か?」
「ばかぁ!」
「……はぁ…」
なんで会議場につく前からこんなに疲れなきゃいけないんだ。
そう思った時、
「あ」
「おいっ!」
どべしゃ。
そんな音を立てて、ロマーノは歩き方をようやく覚えた子どものように転んだ。
「なんで手ぐらいつけないんだ!お前はッ!」
「…………」
ドイツはロマーノが立ち上がるのを手伝おうとしたのだが、その手は無情にも払い除けられ、ロマーノはゆっくりと自分で起き上がろうとした。
だが、途中…両手を地面につき座り込んだ状態で動かなくなってしまった。
「ロマーノ?」
今度はなんだ?と恐れながらドイツがロマーノの顔を覗き込もうとすると…
「うわぁああああん」
彼は突然顔を上げたかと思うと、大きな声でわんわんと泣き出してしまった。
そのおでこと鼻の頭には擦り傷が出来ていて、なかなかどうして痛そうだ。
「ろ、ロマーノ!おい、泣くな!」
「うわああああん、痛い!!ドイツが突き転ばしたぁ!!!」
「なっ!そんなことはしてないだろう!」
「いてぇぇえええ、ちぎぃぃぃぃ」
泣きたいのはこっちの方だ…。
ドイツはそう思いながらロマーノの傍にしゃがみ込む。
「ほら、おぶってやるから乗れ」
「そんなこといって落とす気だな、このドS野郎!」
「そんな無駄なことはせん。ほらいいから乗れ。このままじゃ会議に遅刻してしまう…ッ」
「俺はしんじねーぞ!チギィ!」
ぐずるロマーノをドイツは手早く自分の背中に導き、立ち上がりさぁいくぞ…という時…今度はパラパラと雨がふりだした。

 *

そして、話は冒頭に戻る。

 *

「それめっちゃかっこええやん!」

スペインは、ドイツの背負われ偉そうにふんぞり返って傘を差したロマーノ(おでこと鼻の頭に絆創膏が貼ってある)を見て目をキラキラと輝かせた。

「ロマーノ、それなんなん?それなんなん?一体どうしたん?うわー親分、めっちゃ羨ましいわ!ふああー」
「あ!ポニーがおるし!!しかもこのポニーめっちゃでかいし!」
「ちょ、ポー、あれはポニーじゃなくて…」
「わぁ~!兄ちゃんかっこいー、俺もルートにおんぶしてもらいたいなー!」
「お!面白そうじゃないか!君、ヒーローの乗り物にもなってみる気はないかい!」
「なになに!お兄さんに内緒で何面白いことしちゃってんの!?」

スペインが大きな声を出したからか、何故か会場入口にわいわいと人が集まってくる。
彼らを見た国々の反応は大きく分けて二つ…いや三つだ。
一つは、ドイツとロマーノを囲んでうらやましそうにしているスペインをはじめとした人々、そして一つはそんな彼らを少し遠巻きにして「一体何をやってるんだ…」「恥ずかしい…」「何の妖怪だ?」と眉をひそめるオーストリアやスイス、イギリスといった面々。そして最後に…

「日本さん…ッ!今回の新刊…!!」
「はい!!!独ロマ…いえ、ロマ独に決定ですね!!!」

とっても腐った若干二名。

ドイツは大きくため息をつき…それでも彼を下ろすことはなく会議場までゆっくりと歩いた。

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