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サザンカンフォート・スクリュー

題名に意味はない

「先生!わかった!」

真夏の放課後、マンツーマンでの補修。
出来の悪い生徒に1時間もかけて同じ事を何度も何度も説明していたスモーカーは、冒頭のエースの言葉にホッと息を付いた。
「ようやくかよ」
「おう、わかった」
ニカッと笑うエース。
「俺には全く理解できねーってことがわかったぜ!」
「……」
「いてぇっ!!!」
教科書を丸めたもので容赦なく叩かれ、ついでにその反動で頭を机にぶつけたエースは「うぐぐ」と言いながら机にグデンとなった。
「だってスモーカー、難しすぎるぜぇ?これ」
「先生と呼べ!」
「はいはい、ちぇんちぇー」
エースがふざけていうと、すかさず硬い硬いげんこつが落ちてきた。
「だって先生、マジわかんねーんだって。紀貫之とか、紫式部とかぁー」
「てめぇ…今やってるのが数学の補習ってトコからわかってなかったのか!!」
「ごめんなさい」
エースは素直にあやまってみたが、やはりやはり容赦なく殴られて机につっぷした。
そんなエースにため息をつき、
「ったく…おまえな、夏になったからって成績下げるんじゃねぇよ」
持っていた教科書をぽんと机の上に放った。
そもそもエースは頭が悪いわけではない。むしろ素行に反してかなり成績がいいと言える。
そのエースが成績を落とした理由は1にも2にも『夏』が原因だ。
それも暑さでやる気が出ないとか、頭がぼーっとする…とかいう理由ではなく、
「もうだめだ、禁断症状だ!」
彼曰く暑くなると、勉強どころではなくなるらしい。

遊びたくて。

「夏の太陽が俺を呼んでるんだよ!わかるだろう?スモーカー」
「そんなもんはわからん」
「あそびてぇんだよ!プールいきてぇんだよ、海にいきてーんだよ!祭りにいきてーんだよ!神輿かつぎてぇんだよ!」
「みこしぃ?」
「かつぎてー、かついで海にはいりてー…」
「お前、大丈夫か?」
「大丈夫じゃねぇよ、海、海、海、海の家で焼きそばつくりてぇ…」
「それは…」
ものすごく似合いそうで、逆にスモーカーはうんざりした。
「金魚だってすくいまくって、海に放流してやるんだ」
「いや…それはやめとけ」
「浴衣きて爆竹鳴らすんだよ!」
「うるさくねぇ花火しろよ」
「かき氷くって舌を青くしてぇんだよ!」
「ブルーハワイかよ」
「花火うちあげてーんだよ!三尺玉!」
「打ち上げる方なのかよ」
「UFO降霊実験してぇ…」
「それは色々とまちがってないか?」
UFOと夏が関係あるのか?そもそも、降霊ってUFOは幽霊だったのか?っていうか、そんなもの呼び出してどうするんだ?
わけがわからない…とスモーカーは眉間を指で揉んだ。
「とにかく…遊びてぇならさっさとこのプリントしあげちまえ」
「いや、無理」
「即答すんな!」
「なぁ、スモーカー、あんたハーレー持ってるって言ってたろ?サイドカーのやつ」
「……それが?」
「今からいかね?海」
「はぁ?」
「なぁ行こうぜ、行こうぜ、海ー海ー」
エースは机の上の方を両手で持ってガタガタと揺する。
「んでスイカ割りしようぜ」
「俺と二人でか?さみぃな…」
「は?夏だぞ。夏、見ろよあの入道雲!」
「そういう意味じゃねぇよ」
「あ、別に赤いのでもいい」
「何がだよ」
「だから、かき氷の話だろう?」
「…とにかく、勉強だ、分かるな。エース」
「いや、だからそれはわからねーって」
咬み合わない会話。
少しずつヒートアップする二人…やがて、それは怒鳴りあいになり…

「夏は喧嘩もいいよなぁ~」

そんなエースの言葉と共に、スモーカーの頭で何かがプッツンと切れた音がした。

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