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017 照れ隠し

セシルがおにゃのこ
どうもタイトルとあってない
あいかわらず読み返してもない…最悪

夜。そろそろ寝る準備をしようかという時、セシルの部屋の扉がノックされた。
こんな時間に誰が…?
いや、何事か?
少し緊張してセシルが誰何の声を掛けると…
「セシル、俺だ」
扉の向こうから聞こえてきたのは、同じ軍に所属する同僚であり、親友でもあるカインの声だった。
「カイン?」
驚きながら扉を開けると…
「酔っているのか?」
端正な顔を赤く染めたカイン=ハイウィンドがアルコールの匂いをプンプンさせながら立っていた。
そしてセシルを見ると、「よぉセシル、あいわらず美人だな」とヘラリと笑った。
これはまた見事な酔っぱらいだ。
セシルは呆れながら、カインを部屋へと招き入れた。
普通、バロンでは恋人同士や夫婦でもない限り、女性は男性と二人きりになるような事はしない。
それでも二人きりになってしまう時には、ドアを開けておくのがマナーとされている…が、セシルはそんな野暮な事はしなかった。
それはカインとはそういう仲になってもいいと思っているから…ではなく、絶対にそんなことは起こりえないと思っていたからだ。
だから彼女は無防備にカインに近寄り、よろめく彼に手をかしてやり、またソファまでつきそった。
カインは大人しく彼女に導かれるままにソファにすわり、それからトロリとした目でセシルを見た。
「一体どうしたんだ?こんな時間に」
「あぁ…サッズたちと飲んでいた」
サッズというのは彼の副官の名前だ。ということは、竜騎士たちでの集まりがあったのだろう。
だが、それにしては…
「少しはやいんじゃないか?」
いつもは明け方近くまでだらだらしていることが多いのに…というと、「ん」とカインは言った。
そしてニヤニヤ笑う。
「機嫌がいいようでなによりだよ」
「そうか」
ふふんっと笑う男に苦笑しながら、セシルはコップに水を入れてカインに差し出した。
カインは素直にそれを口に運び…一口飲み下して口から離した。
「…水だ」
「…当たり前だ。まだ酒を飲む気?」
少し呆れていうと、カインは「いや…」と言いつつ不満そうな顔をした。
「それで?」
「ん?」
「何故、僕の部屋に?」
酔いすぎたならばさっさと宿舎に戻って寝ればいいのに。
「冷たいな」
「冷たくはないだろう。それで?」
先を促すセシルに、カインはもう一度「冷たい」とつぶやき、
「パンケーキ」
と一言言った。
「は?」
「だからパンケーキだよ。パンケーキ。わかるだろう?粉に…卵いれて焼くやつ」
それで彼が言いたいtことはわかったが…。
「それが?」
「だから、それを食べに来た」
「は?」
「だから、それを食べに来た」
同じ台詞を二度言ったカインをセシルは呆れたような目で見た。
「何故僕のところに…」
セシルは料理が…得意ではない。いや、野戦料理なら割りと上手い方だ…と思う。
つまり、大きな鍋に肉や内蔵をとにかく入れて、適当に味付けをするような料理は…。
だが家庭的な料理は一切と言っていいほどできなかった。
「お前のヘタクソなパンケーキが食べたくなったんだよ」
粉っぽいやつ。
そう言われてセシルは怒るよりも先に恥ずかしくなった。
「ところどころ白くて、ところどころ黄色くて、ところどころ甘くて、ところどころ生っぽくて…」
「もういい…」
聞いていられずに話を遮ると、カインはクククっと笑ってソファに横になった。
「でも、お前の作ったパンケーキは割りと気に入ってるんだ」
ローザの作ったのみたいに美味くはないけど。
「個性的な味だ」
「う…うるさい」
セシルは唇をクッとかみしめた。
恥ずかしそうな、悔しそうな、情けないような…そんな顔を見てカインはやはりトロリと笑う。
「馬鹿にしてるんあじゃない。いったろ、気に入ってるって。だから食いに来たんだ。わざわざ」
部下たちに厠へ行くなんてヘタな嘘までついて。
「それを聞いて僕はなんといえばいいんだ?ありがとうとでもいうのか?」
カインはセシルから目をそらし、天井をみるとふわりと大きなあくびをして目を閉じた。
「…いや、明日の朝つくるといえばい…い」
「は?君、僕の部屋に泊まっていく気なの?」
いくらなんでもそれは…と言いかけた時には、カインは静かな寝息を立てていた。
「ちょっと…カイン?」
強めに名前を呼んでみても、当然のことのように返事は帰ってこない。
セシルは微妙な顔をして彼をじっと見つめ、やがて一つため息を付いた。
「勝手だ…」
そうして怒ったような顔をつくり、すぐに呆れたように苦笑した。
「僕は、『カイン=ハイウィンドが暗黒騎士セシルの部屋から朝帰り』…なんて噂を心配しなきゃいけないのかな?…それとも、明日のパンケーキの材料の心配かな?」

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