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021. あれだけ書いたのになぜに赤点

古典の宿題をサボったら、何でもいいから作文を放課後までに書け…じゃないと、夏休みを返上で補修をやらせるぞ…と、先生に脅しを掛けられたので、ブルった俺は本当に仕方なく作文を書くことにした。
といっても、俺自身には特にネタがないので、書くのはセシルが育てているヤンデレ・ホセ君の事にする。

 *

ヤンデレ・ホセ君は、1年の数学科にいる。
俺が彼をいつ知ったかはよく覚えてないが、なんだかやばそうな臭いがプンプンする奴で、何をしているわけでもないのに目立っていた…というか周りから浮いていた。
身長は170そこそこでひょろっとした茶髪の男だ。
特徴は…死んだようなドロンとした目と、ゾンビみたいな歩き方、猫背、陰気な空気…でも、顔はわりといいほうだと思う。
なんだか人類の不幸を一手に背負っちまった…みたいな暗い野郎で、でもイジメの対象にはならない…まともな精神の持ち主ならまず関わりたくないと思うような男…それがホセ君だ。(これは決して誇張じゃない)
そんな彼にセシルを紹介した…いや、セシルに彼を紹介したのは、誕生日にセシルがヤンデレが欲しいといったからだ。
あいつが何故そんなものを欲しがるか…それについては関わりたくないので詳しくはしらない。
薄情だと言われるかもしれないが、俺は平凡無事を愛する男だ。
なるべくなら関わりたくない…と思ってもすでに彼に親友認定されている俺としてはそれは無理なので、なるべく無難な道を選びたいだけだ。(あまり深く突っ込むとやぶ蛇…どころか底なし沼に引き込まれる)
まぁ俺のことはいいとして…とにかく、彼はヤンデレを手に入れた。
RPGで言うなら呪われたアイテムゲットだ。(パンパカパーン)
だが、セシルにそんな生やさしい呪いが通じるわけもないし…むしろ呪われたのはホセ君の方だと俺は思っている。(その意味で言えば、俺はずっとセシルに呪われている)

不幸にもセシルに取り憑かれてしまったホセ君は、一週間ばかりで目を見張るほどに変わった。
あまり関わりたくないので詳しくは知らないが、遠目で見ても一目で分かるほどの変化だ。
彼は、一言で言うなら明るくなった。
なんていうか、全く人間が変わってしまったかのように明るくなった。
目に輝きが戻ったし、陰気な雰囲気がパッと消えて、彼の周りの空気が明るくなった。
それに釣られるように彼を取り巻く周囲も変わった。
今まで誰からも避けられていた彼が、人と接するようになった。
しかもただ話しかけられるだけじゃない。笑顔で会話を交わして、背中をたたき合ってふざけあっている。
過去のアンデット系だったホセを知る俺からすれば目をむくような変化だったが、どうやら巻き込まれた周りはそれほど急激な変化とは捉えていないようで、彼は昔から人気者だったみたいに、自然にクラスの中心人物になっている。
誰からも憎まれず、妬まれず、誰からも好かれ、頼られ…。
一ヶ月前までは誰もが敬遠してたっていうのに……異常な事態だ。
だが、もちろんそんなことは誰も気づかない。

良い変化だ…と思うかもしれないが、それはもちろん違う。
忘れてはいけないのはセシルが欲しがったのは『ヤンデレ』だということだ。
セシルにとって『ヤンデレ』ではないホセ君には価値がない。
律儀にも日に一度やってくるの彼が、価値のないホセ君であれば、セシルが笑顔で受け入れるわけがない。(その笑顔ときたら、ちょっとゾッしないものだ)
セシルが笑顔で受け入れるのは、彼がまだセシルにとって魅力があるということで…つまり、彼がますます悪いほうに傾いているのだと思う。

セシルがホセ君に何を話して、彼をどのような方向に誘導しようとしているのかは知らない。
知りたいが、知りたくない。
ホセ君に同情はするし、出来れば『ちゃんと』更生してほしくもあるが…このままセシルが導くままに進んだ末にどうなるのかという事に興味も強い。
多分、怖いもの見たさ。
ホセ君はきっと壊れてしまうけれど、壊れてしまったら大変だけど…でも、それを見てみたい。
俺はそう思って、傍観している。
セシルには「あんまりおかしなことはするなよ」と口だけで言いながら。

 *

と、そんなことを思いつくままにだらだらだらだら…原稿用紙5枚も書いたのに。
「あのね、カイン君。私は小説をかけっていってるんじゃないのよ」
なんて言われて、再提出を命じられた。

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