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知りたいような、知りたくもないような 03

(独)にょ仏←英
もう少しだけ頑張ってみる。 読み返さず。

入ってきたのは白衣をきた若い男だった。
「あ、来客中だったか…」
そう言って下がろうとした医者を「待って」とフランシーヌは呼び止めた。
「もう診察の時間でしょう?いいから入って」
「しかし…」
「いいから」
フランシーヌは正面から強い視線を浴びせられるのを感じながら、フランシーヌは強引に彼を引き止め、席に着くようにと勧めた。
困惑しつつもフランシーヌの掛けたカウチにひとり分の距離を開けて座る医者。
彼は不機嫌さを隠さないアーサーを見て心ばかり頭を下げた。
「彼女の医師をしているルートヴィヒだ。よろしく頼む」
そう言ってルートヴィヒは手を伸ばしたが、それはアーサーに軽く無視されてしまう。
アーサーの視線はフランシーヌに止められており、彼のことなどチラとも見ていないのだ。
「あの…」
中途半端に浮いたままになった手に戸惑うルートヴィヒ。彼の手をフランシーヌがそっと下げてやる。
そしてアーサーから見えない位置でその手をぎゅっと握った。

「お前だって馬鹿じゃねぇんだ」

実際、ルートヴィヒの事など全く気づいていないアーサーは、フランシーヌだけを見て言った。
「自分の価値くらいわかってんだろう?お前は身の丈にあった相手をえらばなきゃな」
「それが貴方だと?」
「あぁそうだ。間違いないだろう?」
「…そうね。世界でも有数のソフトウェア会社…その御曹司の貴方なら、私に釣り合いが取れるものね」
「そういうことだ。やっぱりわかってるじゃねぇか」
「それに幼なじみだしね。ずっと一緒にいた親友同士。それが恋人…夫婦になるなんて珍しくないものね」
「そういうことだ。俺、お前となら上手くやれそうな気がする」
「ずっとそう思ってたの?」
「あぁ、お前が裏切らなけりゃぁ上手く行ってたんだ。……いや、これから修正してやるけどな」
一度道を間違ったくらい…これくらいなら修正出来る。
「子供を殺して?」
「あぁ、いらねぇだろ?それ、俺達の間にはいらねーし」
「アーサー……貴方変よ」
「変?何処がだ」
彼は冗談めかして両手を肩のあたりに持ち上げた。
「何処が変だって言うんだ?これが普通だぜ」
「だったら私は貴方を誤解してたかもしれないわ」
気遣うような…何か言いたげなルートヴィヒの視線を無視してフランシーヌは言った。
「たしかに私は貴方を愛している。だけど、それは親友としてよ。それ以上には慣れない」
「んなのわかんねーだろ?これから…」
「だから、これからは無いと言っているのよ。だって、私には子供がいるもの」
「子供なんて問題にならねぇよ」
さっさと流しちまえ。
「…それに、私は彼を愛しているもの」
彼を。
お腹の中の父親を。
そう言ったとき、アーサーの眉間がピクリと動いた。
それに少しだけ力を得て、フランシーヌはゆっくりと視線をルートヴィヒに向けた。
アーサーは此処ではじめてフランシーヌから視線をはずし…ルートヴィヒを見た。
アーサーよりもがっしりとした背の高い男…。
金の髪を後に撫で付けた二十代半ばほどの男。
フランシーヌがいとおしげな目で見つめる男。

「お前…ッ」

ガタンッと音を立てて、アーサーが立ち上がる。
アーサーの膝がテーブルにあたり、カチャンとグラスが音を立てる。
それにビクンと身体を震わせてアーサーを見るフランシーヌとルートヴィヒ…。
二人の間でつながった手を見て、アーサーの頭がカッと熱を持った。

「テメェッッ…ッ!!!!!」

「アーサーー!やめて!!!」

「フランシーヌッ!!!」

それはほんの一瞬の間に起こった。
テーブルを乗り越え、ルートヴィヒに殴りかかろうとしたアーサー。
フランシーヌが彼を止めようとして、逆にルートヴィヒに抱え込まれ…そして…

「いた…ッ……」

ズキンとフランシーヌの下腹部に痛みが走り、彼女は崩れ落ち…ルートヴィヒに支えられた。

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