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016. やんちゃ坊主は二人乗り

多分三人乗り

どんより曇った空、高い気温と湿度。
いっそ雨でも降れば少しは不快度指数も下がるかもしれないのだが、朝から今にも泣き出しそうってツラをしながら、空は放課後まで一滴も涙を降らせていない。
いっそ空を槍でつついてやろうか、そしたらバケツをひっくり返したような雨が降るんじゃなかろうか…なんて思いつつ、そんな元気もない(そんなことはできないだろうっていうツッコミは聞かない)
髪、肌、制服はしっとりと濡れていて、心なしか革靴も重い。
隣を見ると、セシルもまたダルそうにしている。

「何処かよってく?」
「そうだな…」
家に帰るのもいい。
けど、家でクーラーを使うのはちょっとまだ時期が早い気がする。
こういう時は陽が落ちるまで何処か涼しい場所で時間をつぶすに限る。
「***ドーナッツ?それとも駅前のファミレス?あとー…CDでも観に行く?」
次々と提案を出すセシルに俺は「あー…」と、適当な返事を返す。
別に何処にいってもいいのだが…今年の夏はどこもかしこも節電のせいで、室内の設定温度が高いということを思い出したのだ。
この間入ったレストランなんて、真夏の屋台でラーメン食った…みたいに汗だくになった。
「こう…キンキンに冷えたトコがいいなぁ…」
冷蔵庫の中のような所。
そう言うと、セシルはうーんと考え「あっ」と声を上げた。
「スーパーの食料品売場は?」
たしかに…。
あそこなら最低限食料を冷やしておけるだけ冷房が聞いているだろう。
男子高校生二人で行くようなとこじゃないけど。
「奥の休憩スペースみたいなところならさ、ゆっくり休めるよ」
奥の休憩スペースっていうのは、自販機に囲まれた所の事だろう。椅子と丸テーブルが用意してあって、結構な穴場。
それはいい。それはいいのだが…。
「ここからちょっと遠いな…」
いや、実を言うとそんなに遠くない。
歩いて10分位だ。
だけど、今の俺の気分的には充分遠い。
それはセシルも同じ気持ちだったらしく、心なしか目が死んでいる。
あぁ…このまま路肩でひっそりと溶けて消えてしまいたい…というのはさすがに病みすぎか…と思ったとき、
「よ、セシル、カインまた明日な!」
シャーーっという心地いい音と共に、同じクラスの男子生徒が自転車で駆け抜けて行った。
その爽やかさの憎らしい事憎らしい事…。(確かあいつはテニス部だった。関係ないけど)
ちらりとセシルを見ると、彼も恨めし気に少しずつ遠くなっていく背中を睨んでいる。
そして俺の視線に気づくと、企みたっぷりに微笑み
「カイン、乗せてってもらおっか」
「賛成ッ!」
返事をしたと同時に俺達は不快な地面を思い切り蹴って駈け出した。

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