スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

あなたは喜んでくれるだろうか

休日、イタリアの家を訪ねたドイツは、ドアを叩こうとしたその瞬間にバターンっと何か大きなモノが倒れた音がしてぎょっとした。
ドイツが音のした中庭の方に回っていくと…
「わぁ~兄ちゃん~」
庭でバタバタと手を動かしているイタリアが見えた。
そして足元に大量の材木が積み重なっており…
「ドイツ~!ドイツ~!助けてドイツ~!」
「なんだ、どうしたイタリア!」
呼ばれたからというわけではないが、ドイツが出ていくとイタリアは「わーん」と泣きながらまた手足をじたばたさせた。
「ドイツー!ドイツー!兄ちゃんが下敷きになっちゃった!」
「は?その下にか!!」
それは本当に大変だ。
ドイツは慌てて木材に手をかけ、一つずつ取り除いていくと…ファーマーのような格好(赤いチェックのシャツにつなぎのズボン姿)をしたロマーノが目を回してした。
木材はさほど重くなかったことから、どうやら病院にかかるほどの症状ではないようだが…
「大丈夫か、ロマーノ。おいっ!」
どうやら意識は無いらしい。ドイツは呆れてため息をついた。
「一体、どうしてこんなことに…」
「ヴェ、兄ちゃんが、庭にトマトハウスを作るって言って、アメリカから誰にでも簡単に作れるってキットを取り寄せたんだけど…」
「……ダメだったんだな…」
『チクショー!全然上手くいかねーぞ!』
『ネジが足らねーじゃねーか!コノヤロー!』
『おい!馬鹿弟、そこ抑えてろ!』
ドイツには赤い顔でポコポコ怒っているロマーノが目に浮かぶようだった。そしてその後、ぐらぐらに建ったトマトハウスとやらが倒れる様までも…。
「…とにかくロマーノを運ぶか」
「うん。じゃぁ、ドイツは兄ちゃんの腕ね、俺は足を持つから~」
「いや、いい」
ドイツはイタリアの言葉を断ると、ひょいとロマーノを横抱きにした。
「わっ!すっげぇ~力持ちー」
「バカをいうな…。大戦中は何度お前を担ぎ上げたと思ってるんだ」
毎度毎度脱走しやがって…とぶつくさ言うドイツにイタリアはエヘヘっと笑った。
「じゃぁ隊長~!リビングに運んで欲しいであります!」
ビシッと“左手”で敬礼して見せるイタリアに苦笑しながら、ドイツはロマーノを家の方へと運んだ。

ドイツはリビングのソファにロマーノを寝かせると、骨が折れたりはしていないか丁寧に調べていった。
結果、特に大きな怪我はなく、木材が倒れた時についたらしい切り傷と擦り傷、それから金槌を使った時に出来たらしい指先の怪我があっただけだった。
「お前らときたら、大戦が終わってもかわらんな」
「ヴェ、隊長も変わらないでありまーす」
「かもしれないな」
いつまでたっても、ドイツは彼らの保護者だ。
ドイツはイタリアから救急箱を受けとると、ロマーノの怪我一つ一つを丁寧に消毒、治療していった。
「うわっ、兄ちゃん痛そ~」
「そうだな…目を冷ましていれば俺は間違いなく頭突きを食らっただろうな…」
『いってーぞ!このムキムキ!俺はお前と違って繊細なんだぞ!コノヤロウ!』
ドイツはロマーノの声で再生されるそれに苦笑し、それから静かに眠るロマーノの顔を見た。

「そういえば、彼が俺の前でこんなに無防備なのははじめてだな…」

いつの間にかイタリアはお茶を入れにいったらしく、キッチンの方から鼻歌が聞こえている。
ドイツはロマーノの側に椅子を引き寄せると、普段はまともに目すら合わせることの出来ないその顔をじっと見つめた。
イタリアよりも濃いチョコレートブラウンの髪、健康そうな日に焼けた肌…いつも不機嫌そうに上がっている眉はさがっていて、小憎らしいことばかり言う口は閉じられている。
甘いイタリアの顔とは違い、少しビターな面持ちは女に好かれそうな顔だ。
いや、実際好かれているのだろうな…。
決まった相手がいるのかどうかはしらないが、カフェで女性とお茶をしているのは何度か見かけたことがある。
その時のことを思い出すと、ドイツの胸はチクリと傷んだ。
好かれているなどと思ったことはない、むしろ嫌われているという自覚がある…だが…

「ドイツ、どうしたの?」

吸い込まれるように熱心にロマーノを見ていたドイツはハッとした。
「い、いや。よく眠っていると思ってな」
「うん。兄ちゃん、今朝はやくから頑張ってたからね」
イタリアはヴェ、ヴェっと調子をつけ歌いながら、ドイツの前に冷たい紅茶をおいた。
「今朝はやくから?…それが全て潰れたのか?」
それはなんとも気の毒な事である。
「では、俺が組み立てておいてやるか…」
「ヴェ!ドイツが?でも今日は休日だったんでしょ?」
悪いよ…と眉尻を下げるイタリアにドイツは気にするなと首を横に振った。
「なに…お前らの尻拭いはなれているからな」
「ヴェ」
それに…ロマーノが少しでも…
「きっと兄ちゃん喜ぶよ!」
「あ、あぁ…だと…いいな」
ドイツはイタリアに心の声を読まれてしまったのかと慌てたが、もちろんそんなことはない。
「どうしたの?ドイツ、顔が真っ赤だよ」
ドイツは不思議そうに首を傾げるイタリアから視線をそらし、冷たい紅茶を一気に飲み干すと「さぁ、一仕事するか」と袖をまくりあげ逃げるように庭に出て行った。

…後日、ロマーノが弟からその日の事情を聞き、真っ赤になって照れまくりドイツに“惚れ直した”…なんて話をドイツが聞くのはまだまだずっと先の話だ。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。