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はじめまして誰かさん

ひどい別人
読めば分かるけど。長すぎて読み返してないorz

この街に来てだいたい一年。ってことは、つまり私が家を出てだいたい一年ってことなんだけど…えっと、だから私が何を言いたいかっていうと、世の中は18の女の子には甘くないってこと。
まぁ渡る世間は鬼ばかり…なんてことは言わないけど、それでも結構きっつい。
拾ってくれる人も下心ありありで、気づいたら一文無しで、気がついたら借金が500万円。
なに贅沢してるって?
してないしてない。
だって騙されちゃったんだもん。
まぁ詳しく説明すると、腹が立つから言わないけど…まぁだから、未成年はおとなしく保護者の元にいなさいって話。
じゃないと私みたいになるって話。

『売り』をやらされるんだって気づいたのはホテルに入ってるレストランのバックヤードに入ってから。
「衣装は適当に選んで」
と言われて開けた衣装ダンスの中がいかがわしい下着ばっかりだった時。
もちろん逃げちゃおうか…とは思ったけど、結局、諦めちゃった。
幸い綺麗で高そうなホテルだし、ここで逃げて捕まって場末の娼館で薬打たれて、わけわかんないままにヤられるよりましかなって。
ばかって言わないでよ。
こっちは高校だって出てないんだから。



私のようにこの店で『売り』をやるのは大体二十人くらいいるみたい。
年齢は私が一番若くて、上は三十代…ううん、四十代くらい。
年齢が上の人はガウンとかきてて、あんまり肌の露出が少なくって、私みたいに客の前に並ばされる事はない。…多分、常連…お得意さん?がいるのね。
私は二度と客の前に並ばされて、どちらも選ばれなかった。選ばれたのはどちらも金髪でむちむちとした美女ばかり。
私みたいにブラウンの髪で、胸もそこそこな素人は人気がないみたい。…まぁお客はみんな中年から壮年のきっもい男ばっかだったし、選ばれなくってよかったんだけど…。
でも、こんな調子じゃどちらにしろ一緒かな…。
一応、私は処女じゃないんだけど所謂処女を捧げたって男も、ろくでもない奴だったし…私って本当についてないよね。
っで、三回目。
今度のお客さんはさっきまでとはちょっとちがった。
何しろ先程までの客より三割は懐が暖かそうだし、一人だけ若くてかっこいい人がいる。
もうそれみたら女の子のテンションあがりまくり。みんなしてその男に色目つかっちゃってるの。
わかんないでもないけどね。
私だって同じように間に金が絡むとはいえ、スケベなじじぃに抱かれるよりは一級な男に抱かれる方がいい。
だけど私はあからさまな色目は使わなかった。
だって私と同じように並ぶ子の中には私より美人も胸の大きな子もまだいたし…、せいぜいあの男におべっか使ってる人参みたいな男に選ばれればラッキーみたいな感じだった。
だからあの男に選ばれたのは、誰より一番私が驚いた。
そう。他の人も驚いてた。
あの男の取り巻きは、『あんな小娘で本当にいいのか?』って感じだったし、女の子からはやっかみの視線が肌にヒリヒリした。
だけど選ばれたのは私。
まぁいくらいい男だからって気乗りはしないし憂鬱なだけなんだけど、そこは自分で自分を説得よ。

私は下着姿の上にコートを着こんでレストランを出ると、男と連れだって部屋へと向かった。
彼の名前はルイ。ま、娼婦相手にばか正直に本名を名乗るわけないし、偽名だとは思うけど。
身長は…結構たかい。多分180くらいある。シークレットサービスをやってると言われれば、そうなんだと信用しちゃうくらい体格がよくて、金髪のドイツ系だとおもう。
年齢は二十歳そこそこ。少なくとも25は越えていないはず…。
顔は整ってるけど、さっきからなんだか小難しそうな顔をしてる。
もしかして娼婦を抱くのは本意ではないのかもしれない。…と思ったんだけど…彼は部屋につくとすぐにシャワーを浴びるように言った。買いかぶりだったか。
私は素直にバスルームに向かいシャワーを浴びた。
その時の気分ときたらやっぱり最悪だった。
いくらスケベジジイ荷に抱かれるよりはマシなんて自分に言い聞かせても、気持ちはごまかされてはくれない。
本当に最悪な気分。
情けない、腹立たしい、そして怖い。
だけど女は度胸よね。って…こんなとこでイタリア女のクソ度胸を使うなんて。

部屋に戻ると、彼はベッドで…ではなく、備え付けの机に向かってノートパソコンとにらみ合いっこをしてた。
私が戻ってきたのに気づくとはっとしたように振り返り、窓際のテーブルを顎で差した。
そこにはホテルの案内の書かれた冊子と電話が置かれてる。
「なに?」
「悪いがルームサービスを頼んでくれないか。ビールと2本とつまみを。それと、お腹が減っているなら何か食べ物も一緒に頼むといい」
「え?」
一瞬何を言われたかわからずに間抜けな言葉を発してしまった。
だから「だから…」と繰り返された言葉にも、私はしばらく思考がストップしたままだった。
あれ?私って秘書として送り込まれたわけじゃないわよね?なんてくだらないこと考えながら、私は案内の冊子を開いてビールを二つとチーズとサラミの盛り合わせ…それから私用にベーグルサンドを頼んだ(仕方ないじゃない。今日はまともな食事とってなかったんだから)
この人ってもしかして雰囲気を大切にする人なのかしら?娼婦相手に?
そんなこと思ったら、仕事をしているらしい彼の背中が妙に愛おしくなってしまって胸がムズムズした。
だけど彼はビールが届いてからも、仕事ばっかりで私には見向きもしない。
…もしかして、緊張している?
それとも…
「あなた、ゲイなの?」
…あらら、おもいっきり口にだしちゃった。
その途端、ルイはムッとしたように私を振り返り「違う」と言った。
それがなんだかとっても拗ねたみたいな感じだったから、ちょっと可愛いと思ってしまった。
もちろん彼のほうが年上で、“可愛い”なんて言葉はちっとも似合わないんだけど、でも可愛かった。
笑うと彼は少しだけ頬を赤くしてパソコンに向き直った。
私は窓際から椅子をひっぱっていって彼の傍に腰を下ろした。ルイは私の方をチラッと見た後、気にしないことにしたらしく仕事を続けた。
画面の中は…何が書いてあるかさっぱりわからない。
黒い画面に白い文字や青い文字、ピンク色の文字が躍っている。
英単語みたいなのと、かっこと、それから数字と、変な記号。
「ねぇ、これってなんなの?」
「……」
「教えてくれたっていいじゃない。ケチ」
「…好奇心は猫をも殺すって言葉をしらないのか?」
「好奇心が猫を殺す?」
なにそれっというと、彼は呆れたようにため息をついた。
「とにかく…今日は仕事はいい。眠かったらそのベッドで寝ればいい」
ルイの申し出は私にとっては願ってもない事…だったはずなんだけど、その言い草はちょっと私の癇に障った。
「何よ、その言い方。バカにしてるの?」
「…していない。だが、君だって知らない男と寝て金をもらうより、何もせずに金をもらったほうがいいだろう」
「娼婦としてのプライドは?」
「……」
黙りこむルイを見て、私はやっぱりちょっと彼は可愛いと思った。
「まぁ、私にはないんだけどね。そんなの。私、今日がデビューだし」
私の言葉に彼は少し驚いたような顔をした。
「今日がデビュー?これまで客を取ったことがないのか?」
「そうよ」
「君はいくつなんだ?」
「君っていわないで、私はロヴィーナ。年は18」
「18」
彼は呆れたような顔をした。その顔はすぐに何か考えるような顔になって…「家出か?」と聞いてきた。
「まぁそんなもんね」
「親元には帰らないのか?」
「なにそれ」
おためごかしみたいな言葉はごめんよ。っと言外に表情でいってやると、彼は「悪い」と言って画面に向き直った。
「だが、こんな生活はやめたほうがいいんじゃないか?親元に帰ったほうがいい」
「…かもね」
「帰らないのか?」
「…借金あるし」
こういう会話はあんまりすきじゃない。
自分の馬鹿を思い知らされちゃうからね。
「いくらなんだ?」
「500万」
「たったの?」
たったの?
その言葉に私は本気でムッとして彼を睨みつけた。
「そうよ、だけど私には10年たっても返せないかもしれない。ううん。もしかしたらもっともっと増えてるかもね!」
「…借金がなければ家にかえるのか?」
「まさか!」
私はとんでもないというように驚いてみせた。
「いいわ。教えてあげる。私のパパとママは私が10の時に離婚したの。」
そして私はママに引き取られた。ママは一人で私を育ててくれてたけど、経済状態はあんまりよくなかった。そんな時、ママは自動車会社で働いていた男と知り合った。
そして私が13の時に結婚。
最初はよかった。その男も結構優しかったし、お金だって持ってたし。いい家に住まわせてもらったし。
だけど私が16の時、男の会社が倒産。
それから男が荒れだした…。
「酒に溺れて働き口を探さないし、私やママを殴るし、家具は壊すし…もぅ最悪よ。それで、ママは出て行った。私をおいて。それで、私も家を出て一人でくらさなきゃいけなくなった」
以上。
おしまいおいしまい。
ルイが拍手をしてくれないものだから、自分で拍手をしてやった。
ふん。
同情するならしてみなさい。その横面をひっぱたいてやるわ。
そんな風に睨んでいたんだけど、彼は「そうか」とぽつりとつぶやいて、また画面に向き直ってしまった。
肩透かし。
でも、ま、そうよね。
家出少女が娼婦になっちゃう…なんて珍しい話でもないか。
同情されるのも嫌いだけど、全く放って置かれるのもまたむかつく。
肩にゴツンと頭突きをしてやると、彼は驚いたように私を見て小さく笑った。
「じゃぁお前は一人なのか」
「だからロヴィーナだってば」
「ロヴィーナ」
「そう。うん。一人ね。天涯孤独。詩的でしょ」
「詩的…かどうかは知らないが…」
そう言って私を見つめるルイ。
あら、今気づいたけど、彼はとってもきれいなブルーの目をしている。
それに気づいたら、なんだかキスしてやりたくなった。こんな気分をなんていうんだっけ?センチメンタル?それともメランコリック?なんかよくわかんないけど、なんだか今の私はすっごく彼を愛したい気分…で、愛されたい気分。
これって雰囲気に流されてるよねーって思いつつ、流されたくもあったりして…そのままチュッとキスしてやった。
そしたらルイはちょっと驚いた顔をして、それからまた優しく微笑んだ。
「ちょっとはやる気になった?」
「少しな」
「じゃぁする?」
自分で言っといてなんだけど、すっごく娼婦っぽぃセリフだ。
自分で言って自分で照れた。
「したい…が、やっぱり駄目だ」
「どうして?」
忙しいのかとついたままのノートパソコンの画面を見ると、ルイはゆるりと首を振った。
「そうじゃない…そうじゃなくて…」
「そうじゃなくて?」
「仕事中だからだ」
「仕事中?ビールは飲んでいるのに?」
「…そうだな」
返ってきたのは苦笑。
「もしかして刑事なの?」
思いついたままを口にすると、違うと首を横にふった。
でも私は信用しなかった。
「さっきの女の子の中の誰かを家族が探してるんだ」
「じゃぁ、もしかして非合法で売りをやってるとか?」
「じゃぁ、薬の取引があった!違う?」
彼はどれにも芳しい反応を示さなかったが、多分どれかが正解だ。
「あ、だから借金がなくなったから家に帰るのかって聞いたんだ!」
パチンと手を叩くと、彼は苦笑しながらゆるゆると首を横にふった。
「残念ながら…俺は警察機関の人間じゃない」
「じゃぁもしかして敵対している会社の人?」
「敵対?面白いことをいうな」
あーもぅもったいぶるな!
「教えて」
じっと見つめると、彼は少し考えるように間を置き口を開いた。
「俺はどちらにも一枚噛んでるんだ。つまり、警察機関ともつながってるし、ライバル組織ともつながってる。どちらからも利益をもらってる便利屋だ」
「便利屋?」
「そう、兄さんが立てた会社だ」
「へぇ…もうかるの?」
この時下心がなかったか…と、たっぷりあったかもしれない。
だって彼の言うとおりだとすれば、私をココに放り込んだやつらは警察機関につかまっちゃう。それで借金はチャラになっちゃうみたいだけど…それで私がまともに働いて暮らしていけるか…というと、そうでもないのはいやというほど学んじゃったわけで…。
で、多分そんな下心はルイもわかってたんだろうと思う。
彼は私の目を探るように見ながら、「そこそこ」と答えた。
「じゃぁさ」
私は言いかけて唇をぺろりとなめた。
「もしかして人を一人雇えるような余裕とか…」
「あぁ、無いことはないな」
おもしろがるような視線が小憎らしくも愛おしく感じる。
「じゃぁ雇ってくれる?シャチョウサン」
おどけたように小首をかしげて見せると、ルイは手を伸ばし私の髪をサラリと撫でた。
「シャチョウサンじゃない」
「じゃぁルイ?」
「ルートヴィヒだ。“これから”はそう呼べ」
やっぱりルイは偽名だったらしい。
でもルートヴィヒか。堅そうな彼にはぴったりな名前だ。
「これから宜しくルートヴィヒ」
にっこりと微笑んで手を差し出すと、「よろしく」と彼も私の手をとってくれた。
大きくて熱くて厚い手だ。

私って本当に馬鹿で運が悪くて要領も悪いんだけど…最後にはちゃーんと当たりくじを引くタイプなのよね。

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