スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

光は見えず

ビジュアル的には薄桜鬼で
江戸 原田 山口(斎藤) 旗本切っちゃった後。
駄…リハビリだと思ってくださいorz

朝方、女の香りをぷんぷんとさせた原田は一人川沿いの道を歩いていた。
いい気分だった。
彼が昨夜抱いた女は、吉原でも5本の指に入るという美女。
しかもその美女は原田をとても気に入ってくれて、ずいぶんといい思いをさせてもらった。
思わずにやける口元をつるりと撫で、ふと足を川べりへと向け、草原の上に腰を下ろした。
空はまだ青く、夜明けまでは時間がある。
朝の清らかな風が、程よい疲れを感じる身体に心地良い。
今日はもう屯所にはいかずに此処で昼まで眠って、それから新八でも誘ってどこかへ遊びにいくか…そんなことを考えていると、ふと誰かが彼の方に向かって走ってくるのに気づいた。
こんな時間に誰か…?
まさかこんな町のはずれに豆腐屋なんてこともあるまいと原田が視線をやると…

「山口…か?」

笠をかぶって急いでいる様子の小柄な青年。
思わず声を掛けると、彼はそれで原田の存在に気づいたらしく、大きく肩をはねさせ戸惑ったように足を止めた。
「おい、何処へ行くんだ?」
もしかして俺のことが誰かよくわかっていないのかもしれない。
原田はそう思って立ち上がり近づこうとしたのだが、その途端山口は原田から逃げるように一歩下がった。
「おい?山口?俺だぞ、原田だ」
何も逃げる必要はないだろう。
少しばかり傷ついた思いで言うと、山口は未だ戸惑ったようにしながらコクリと一つ頷いた。
一体どうしたのだろう?
そんなことを思いながら原田はゆっくりと山口に向かって歩を進めた。
「急いでいたようだが、一体どうしたんだ?」
そして、ようやく一歩手前までやってきて声をかけると、
「原田さん…」
山口は弱り切ったような声を出して目を泳がせた。
こりゃ彼自身に何か重要なことが起こったらしいと気づいた原田は、安心させるようにことさら優しく微笑んだ。
原田は女に限らず基本的に誰にでも優しい男だ。
彼は笠の上からぽんぽんっと斎藤の頭を撫でてやった。
「落ち着け。大丈夫だ。こんな早朝、お前と俺くらいしかいねぇよ」
「は…はい。でも原田さんはなぜこんな時間に?」
そう聞かれて原田は少し困った。まさか男女の事を全くしらないというわけではないだろうが…それを面と向かって言えるほど彼は熟していない。
「えっと…あー…ちょっと遅くまで飲んでいてな」
微妙にはぐらかすと、山口の顔のこわばりが少しとれたような気がした。
「じつは、ついさっきまでそこで寝てたんだ」
それでつい原田は余計なことを言ってしまう。だが、それは正解であったらしく山口のこわばった肩から力が抜けた。
「それでどうしたんだ?何かあったんだろう?」
「…はい」
「言いづらいことか?」
「…はい」
「少し座らないか?」
原田は先程まで腰を下ろしていた辺りを顎で示すが、山口はそれを首を振って断った。
「あの…急いでいるので…」
「江戸を出るのか?」
斎藤はコクリとうなづいた。
「どこに行く気だ?」
「とりあえず…親戚の所を頼ろうと…」
その言語で原田は起こった事のおおよそを理解した。
まぁ、朝方誰にも出られないように江戸を出…とりあえず親戚の元に身を寄せようなんて考える時点で誰にでも分かることではあるが…。
「…そうか」
原田が真面目な表情で言うと、斎藤はくっと唇を噛み締め笠に顔を隠した。
「お前らしくねぇな…」
原田は、山口は藤堂や総司とちがって直情的ではないと思っていた。だが、此処にこうしている彼を見ると…そうでもなかったということか。
「近藤さんや土方さんには?」
「…いえ…」
「誰にもか」
「すみません」
「いや…べつに責めてるわけじゃねぇ…」
原田は空いたはだけた胸元を掻き、それからハッと気づいて金子の入った小袋を取り出した。
中身は昨夜使ってしまったから大した額ではない…だが、無いよりはマシだろうと山口の手に押し付けた。
「原田さん…っ」
「いいからもっとけ。大体大した金は入ってねぇんだ」
「…すみません…借りていきます…」
「気にするな…これは…これは今度会ったときにでも返してくれりゃぁいんだから」
「は…はい」
笠を上げ、笑顔らしいものを見せた山口に原田も笑って手を伸ばし、彼の頬をペチペチと叩いた。
「元気でやれ」
「…はい。ありがとうございます。それと…試衛館のみなさんには…」
「よろしくいっとくよ」
「はい…ありがとうございます」
言葉尻が震え、彼は原田の手から逃れると、がばりと90度のお辞儀をした。
「お、お世話になりましたッ」
そして、
「あ、おい…ッ」
そのまま、原田を置いて走り去ってしまった。

原田は山口が見えなくなってしまうまで見送り、そして中途半端に上げられたままになっていた手を下ろした。
気がつくともうそろそろ誰もが起きだす時間になっている。
原田は吉原の店を出たときの気分は何処へやら…暗い気持ちでため息をついた。
「総司の奴…寂しがるだろうな…」
ポツリと呟き、彼は試衛館の方へと足を進めた。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。