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ゼロの夜想曲 08

「あ~ら、ルイズ。おはよう。なぁに?エスコートなんてされちゃって!」

廊下に一歩出た途端、何に対してかはわからないが勝ち誇ったような声がかけられた。
燃え上がるような真っ赤な長い髪。
俺より頭一つ分ほど低いくらいの身長の女は・・ルイズと比べるとかなり色っぽく見える。
胸元のボタンをきわどいところまで開け、そこからはむっちりとした二つの乳房。
腰はきゅっとくびれており、短いスカートの下からは程よく肉付きのよい長い足が出ている。
顔もかなり整っているし・・・ほぉっと俺は小さく息をついた。
別に彼女に見ほれたわけじゃない。
立派な夜魔になれそうだという感嘆の息だ。
その彼女はキュルケというらしく、ルイズとぎゃーぎゃーといっている。
俺は女の言い争いに口を挟むようなことは嫌いなので、耳をシャットアウトし・・・それからキュルケの傍に寄り添っている奇妙な動物に目を向けた。
セントバーナード・・・いやライオン・・・いや、ケルベロスより二回り小さいくらいのトカゲ。
真っ赤なトカゲ。
尻尾が燃えている・・・・イフリートの親戚か何かだろうか?
それにしても縦に長い瞳孔とは・・・ほんの少し親しみを覚える。
トカゲは俺のことを物珍しげに見上げている。
「あなたお名前は?」
ふと気付くと、女が傍に立っており俺の顔を覗きこむようにしていた。
俺はそれに顔をかくすように顎を下げてから口を開いた。
「・・・玲治」
「レイジ・・・?短い名前ね。」
「正式にはもっと長い名前もなくはないがな」
混沌王・人修羅・沓名・玲治 とかな。
「ふぅん・・・?ねぇあなた、サラマンダーを見るのははじめて?」
キュルケに言葉に俺は小さく頷いて言った。
「サラマンダーというのか。イフリートの眷属か?」
「イフリート・・・?それって精霊・・・いえ、悪魔の名前でしょう?
 違うわよ。そんなんじゃないわ。サラマンダーはね・・・」
と、大きな胸を張って説明しだす。
彼女の横にいるこのサラマンダーが彼女の使い魔で、それで、火竜山脈でブランドなのだそうだ。高いんだそうだ。
さっぱりわからなかったが、かなり凄いことらしく、隣でルイズが悔しそうに唇を噛んでいる。
それを敏感に感じ取ったらしいキュルケはくるりと体をルイズの方に向ける。
「す・て・きでしょ?あたしの属性にぴったり」
「あんた・・火属性だもんね・・・」
「えぇ、微熱のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は微熱。でも男の子はそれでイチコロなのですわ。あなたと違ってね」
はじけんばかりの胸を張るキュルケ。
対抗するようにルイズも胸を張るが・・・・その姿はなんというか・・・・哀れ。
負けず嫌いなのはわかるが・・・・それはなぁ。
屹と睨み上げるルイズに、見下すキュルケ。
俺は少し気の毒になって少しだけ加勢してやることにした。
一応、俺は彼女の使い魔ということもあるが・・・なんというか、妹に対する兄のような気持ちがわいたからだ。
キュルケの足元で俺を興味深そうに見ているサラマンダー。
それと目を合わせ、少しだけ殺気を流してやる。
きゅっと照準を合わせ、メッセージを送る。

『食い殺してやろうか』

途端、サラマンダーの巨体が確かに跳ねた。
どんっと。
それに驚く二人。
「どうしたの?フレイム」
フレイムというのがそのサラマンダーの名前らしい。
サラマンダーは怯えたような目でそれでも俺の目を見る。
いや・・・多分目が離せないのだ。
フードに顔を隠して、俺は小さく口元を引き上げた。
そして、彼に殺戮のイメージを送る。
それは単なる架空のイメージ。だがボルテクスの頃に良く見た光景と、実体験を元に練りだした本物の臭いのするイメージだ。
肉の裂ける音、断末魔の叫び、噴出す血飛沫、骨の折れる鈍い音、むせ返るような体液の臭いと、殺戮者の哄笑。
真っ赤に燃えるイメージと共にわざと八重歯を見せるように口を開くと、サラマンダーはずるりとその巨体を後ろに引いた。
「フレイム・・・・?」
不審な声を上げるキュルケ。
俺はそちらを見ず、もう一睨みをサラマンダーに送る。
さぁ、行くぞっと。
すると、サラマンダーは今度こそ逃げ出した。
どたどたと体格のわりには短く太い足を交互に忙しく動かしながら、廊下をつっぱしる。
まぁ、突っ走るといってもそれほど早いわけじゃないが。
「ふ・・・フレイム~?!ちょ・・ちょっとどこいくのよ!」
慌てて、後を追うキュルケと、フードに顔を隠し低く笑う俺。
ルイズ唖然としたような顔でキュルケの背中と俺を見比べ首をひねる。
「あんた何かしたの?」
不思議そうに聞くルイズ。
「さぁな。便所にでも行きたくなったんじゃないか?」
「ふぅん・・??」
「それにしても・・・アレはそんなにすごい召喚獣(?)なのか?」
「えぇ・・・そうよ・・・。悔しいけど・・・・ね」
「ふーん。でもまぁ、いいんじゃないか?召喚獣くらい。」
そんなに強そうには見えなかったが、とりあえずそう頷いておく・・・が、
「よくないわよ!メイジの実力を測るには使い魔を見ろって言われるくらいなのよ!
 あのバカ女がサラマンダーで、なんで私が・・・・・」
「俺かって?」
「・・・・」
「・・・・ルイズ?俺はいつでも契約は破棄していいんだぜ?」
「・・・・わ・・・るかったわよ。」
かなり不本意そうで口元が歪んではいたが・・・まぁいいだろう。
悔しそうに両手ににぎった拳が震えているのを見ると、なんとなく頭を撫でたくなるが・・・まぁそれはやめておくことにする。
やると、ヒスを起こしそうだ。
「まぁいい。で、あの女・・・微熱のキュルケってのはなんだ?」
「あぁ・・・二つ名ってやつよ。あの女は色狂いで、火を使うからぴったりでしょう?」
色狂い。
ルイズのような童顔の女の子から出る言葉としてはかなりきついものがあるが・・・まぁ確かに頷ける。
「お前にもあるのか?二つ名ってやつ」
聞くと、彼女はクククっと眉を鋭角に上げた。
ジリジリとしたような目で俺を睨み、口を開こうとしたルイズ。
しかし、途中でハッと何かに気付いたような顔になり、それから不敵に笑っていった。
「ゼロよ・・・ゼロのルイズ。いい名前でしょう?」
「・・・・・・」
・・・・それって・・・魔法がゼロってことじゃないのか・・・?
確かに卑屈になるな・・・とはいったけど・・・・
なんか違うくね・・・・?
いや・・・・まぁ・・・・いいか。

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