スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ゼロの夜想曲 05

すぐにそのコルベールとか言う男の元へ案内してくれるのかと思いきや、彼女は何故かタンスをあさり黒い布を俺へと投げてよこした。
真っ黒な大きな布、その縁を沿うように青白い線が入っているのは何処となく自身に入っている刺青を連想させる。
「これは?」
「それ、着なさいよ。」
「着る・・・?」
言われてよく見れば、それは一枚の布ではなく、簡単な洋服のような形になっている。
いわゆるローブというような形。
言われるままに頭からすっぽりとかぶると、足元まで黒い布に包まれた。
手の辺りはゆったりと拡がり、まるで暗器でも使う者のよう。
頭にはフードまでついており、それをかぶるとまるで黒魔術師だ。
その格好のまま、ルイズを見ると、彼女は腰に手を当てた状態で俺のことをじっと見ていた。
そして、
「まぁまぁね。」
「まぁまぁ?」
「そうよ。全く、あんたときたら何にも気にしていないみたいだけど、上半身裸だったのよ?
 貴族の集まる場所で、そんな格好なんて普通は信じられないわ。それに・・・」
っと、ルイズは何かを言いかけそして口を閉じた。
彼女が何を言いたいのか、おおよそ検討がつく。
使い魔としては、見た目がよくないというのだろう。
それには一言も二言も言いたいことがあるが、まぁいいと受け流すことにする。
何しろ彼女は幼い。
ピンクブロンドの髪は、かつての俺の仲魔パールヴァティを思い出させるが、パールヴァティよりも随分と彼女は若く、中学生・・・13や14くらいなのだ。
一方俺は、受胎が起こる前はすでに高校生であり、それから色々とあったので、彼女よりは随分と年上だ。
イチイチ反応していたのでは、大人気ないというものだろう。
「さ、行くわよ」
気を取り直したかのように言うルイズに、俺はフードを深くかぶったまま重々しく頷いて見せた。

明るい廊下、毛深い絨毯。
妙な生き物がルイズと同じか、それより上の少年少女の後ろをついて回っている。
奇形の兎のようなものや、ヤカーによく似たやつ、ポニーのようなやつがいたかと思えば、尻尾がトカゲだったり・・・俺はそれをフードの中で見ながら歩いていた。
彼らも俺の気配に妙なものでも感じるのか、時折ぴたりと止まって俺を見上げる。
言葉が通じるのか試してみたいが、それは後に回しておくことにする。
重々しい扉の前でルイズは立ち止まり、ノックをする。
3度叩くと、中から返事があり、こちらからノブを回す前に内側へと扉が開いた。
中から姿を見せたのは、昼間に俺を敵意丸出しに見ていた中年の男、ルイズが言うところの“ミスタ・コルベール”だ。
彼はすぐに俺に目を留め、それからルイズに目を落とした。
その顔が驚いたような表情になったのを俺は見逃さない。
きっと、俺たちが一緒に現れることを予想していなかったのだろう。
「ミスタ・コルベール?」
「あぁ・・・いや、ミス・ヴァリエール。君も一緒だとは思わなかったものでね」
「何故です?彼は私の使い魔です」
一緒に居るのが当たり前だろうというルイズに、彼は尚も納得しないような顔をする。
「しかし・・・」
「何か、おかしいですか?」
「いや・・・いや、何でもない。さ、入りなさい。」
コルベールが大きく扉を開き、俺たちを招きいれる。
中は応接間のようになっていて、窓際に大きなデスク、その前にテーブルとソファが置いてある。
ルイズがソファの前に立ち、俺はその横に立つ。
コルベールはそれを見て、反対側に進み座りなさいと手を示す。
「それで、彼に話ってなんです?」
ルイズが聞くと、コルベールは苦笑する。
最初のインパクトの瞬間の時のルイズとのギャップに驚いているのだろう。
彼女はあの時、殆ど腰を抜かさんばかりにしていたのに、今の彼女からはそんな様子は一切見られない。
「いや。何か色々とあったようだね」
「色々?」
首をひねるルイズ。俺は隣でそれを見ながら、そうですねと頷いた。
「色々と。」
「興味深いな。君からもとげとげしいものが少し落ちたように見える。」
「えぇ。そうですね。せっかくこの世界という場所に出られたのですから、少しは楽しまなくては」
俺の言葉に、ルイズは驚いたように少し低い位置から俺を見、コルベールはまた苦笑した。
「あんた、丁寧な口きけるんじゃない」
とはルイズの言葉。
俺は肩をすくめて見せる。
「まぁ、それはいい。話というのは、君の今後の事についてだったのだが・・・・
 その調子では、意外に上手くやれそうですね。安心しました」
「今後というと?」
「そうですね。貴方は・・・そう、少し危険ですのでね」
ルイズを見ながら言葉を濁すコルベール。今度は俺が苦笑する番だ。
確かに、その危険性は俺自身が感じている。
俺はこの世界とは異質なものだ。
この俺が、この世界にいるだけでどんな影響が出ているか分からない。
「貴方が危険?どうして?」
一人状況においていかれた風のルイズが、不満そうに口を尖らせる。
そうしていると、まるで幼い妹が隣にいるようだ。
頭を撫でてあやしてやりたくなる。
「さぁな。まぁいいだろう?そんなことは。」
「あんまり良くないわよ。貴方は私の使い魔なんだから」
「お前に迷惑はかけないさ。・・・多分」
「多分って・・・・」
「多分は多分だ。不安なら、早く俺が仕えるべき器をもつ召喚主になってくれ」
「い・・・いわれなくても、すぐになるわよ」
「ほぉ」
「そしたら、顎先でつかってやるんだからね」
「それは楽しみだな」
くだらない言葉の応酬、それにふと笑う気配がして顔を向ければ、ミスタ・コルベールがおかしくてたまらないというように口元に手を当てて、笑いをこらえている。
「す・・・すみません。ミスタ・コルベール」
「いやいや。本当に仲良くなったようで、なによりだ。私の心配も取り越し苦労だったようだ。」
にっこりと微笑まれ、ルイズは顎を下げて俺を見る。
笑われたじゃないというような非難めいた目。案外可愛らしい。
「では、話は終わりですか?」
俺が言うと、コルベールは待ってくれと言った上で立ち上がり、デスクからノートとペンを持ってもう一度ソファに掛けなおした。
「すまないが、そのルーンを見せてもらえないかね?書き写しておきたいのでね」
俺は一つ頷いて了承すると、ルーンの浮いた手の甲をテーブルの上に広げる。
っといっても、俺には全身に元々刺青がはいっているような状態。
コルベールは首をひねり、何度も書き直しながらそのルーンをうつしていく。
「面倒な体ね。あんたって」
コルベールが苦労する様をみながらルイズが言う。
「別に好きでこんな体になったわけじゃないさ」
「どういう意味?」
両手で顎を支えるルイズがこちらを見上げる。が、俺はそれには答えない。
ルイズはしばらく俺を見ていたが、やがて諦めたようにルーンを書き写すコルベールに視線を戻した。

なんか結構楽しいのですが、全く話が進みません。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。