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投げやり会議

英仏英+独ロマ で 仏と独の話
ぐだぐだ 駄文

彼ら以外客の居ないバーのカウンターで、ドイツはさめざめと泣くフランスを持て余していた。

世界のお兄さんを自称するフランスが、酔っているとはいえ彼よりも随分と若いドイツの前で泣くことは異例だ。
その原因はフランス自身にあるとも言えないので、自業自得なのだが…。
ドイツは何か言わなければと思って入るのだが、言葉をかければ説教になってしまいそうで何もいうことが出来ない。
ドイツは隣で泣くフランスにばれないようにため息をつき、バーテンダーに新しいビールを要求した。

 *

事の発端は今日の世界会議で、イギリスの席が日本の隣だったことだ。
イギリスという男、そもそも友人が極端に少なく、またその難しい性格から新しい友人を作るのも不得手。
そんな中にあって日本は唯一といってもいいほどに親しい…というか、端で見ていて痛々しいほどにイギリスは日本と仲良くなろうと必死でなりふり構わない。
今日もまた、彼は席につくなり日本に猛アタックをかけていた(椅子を引いてやるところから始まって、給仕までかってでる始末…)
もちろん彼はただ仲良くなりたいだけであって、そこに友情以上を求めているわけではないし、体面のいい日本が“そういう”つもりで微笑みを返しているので無いこともいわずもがなだ。
だが、フランスはそれをわかっていても我慢できなかったらしいのだ。
最初はことさら二人の事は無視していたようなのだが、そのうち不機嫌になり、ついで隣に座っていたドイツに絡みだした。
当て馬にされたドイツはいい迷惑であったが、フランスは意に返さなかった。
彼はドイツにことさら席を近づけ、話しかけ、にっこりとほほえみ、意見に賛成し、昼食の誘いをし……と、つまりイギリスへの嫌がらせ(ということは、つまりドイツへの嫌がらせでもある)を始めたのだ。
そこでイギリスがドイツに妬く…もしくは、不機嫌になったりしたらよかったのだが、イギリスはそれを無視した。
無視してとにかく日本を優先した。
それで…
会議が終わった後、とうとうフランスがポキンと折れてしまったのだ。
彼は日本と食事に行くというイギリスをガン無視して、また、予定があるというドイツの言葉もまたガン無視して無理やり引っ張り…そして現在に至るというわけだ。

 *

「まったくさ、あの眉毛ったら全然わかってないんだよ…」
「そりゃ日本はイイヤツだよ。おれだってあいつのとこのサブカルには一目も二目もおいてるしね…」
「けど、俺には一言の挨拶もなしにいきなり日本のところに行くって信じられる?」
「近頃、電話してもいまいち反応悪いし、お兄さんたちやっぱりダメなのかな…」
などなど、ぐちぐちぐちぐち…。
すでにそんな状態が1時間半は続いており、そろそろ忍耐強いドイツにも限界が近い。
彼はカウンターの下でフランスにバレないように携帯をいじり、イギリスにメールを打った。
どうせドイツでは相談相手にはならないのだし、だとすればさっさと二人で話し合いをしたほうがどれほど建設的か…。
「なぁ、聞いてるのかよ、ドイツ!」
「え、あ、あぁもちろんだ。イギリスの話だったな」
「そう、そうなんだよ。あの眉毛!ほんっと信じられないと思わないか?」
「そうだな」
ひきつりながら同意を示すドイツだが、フランスは全く気にしない様子でまた愚痴を始めた。
忙しいのはわかるが、近頃、恋人に対する態度がなっていない。
そもそも俺を恋人だと思っているのかもよくわからない。
甘い言葉だって皮肉と一緒にしか言ってくれない。
むしろやさしくない。
日本と俺で扱いに差がある…。
彼の愚痴は尽きそうになく、ドイツはまたビールを頼むしかなかった。
ドイツは、確かにイギリスの態度はよくなかったと思っている。だが、それ以上にフランスの態度は大人気なかったとも思っている。
もちろん、それを今指摘することはないが…。
「っつか、今日の態度はなんだよ?あれ、見せつけてんの?どうなんだよ。なぁ」
「え…あぁ…いや、しかしイギリスは昔から日本には甘いから…」
「そりゃわかってるけど、それを俺の前でやるかっていうの!おれだってアイツの前じゃ女の子口説かないのにさぁ!」
「いや…あれは口説いているというわけでは…」
「そんなのわかってるっての!でも、明らかにあれは見せびらかしてたとおもうんだけど?」
「あぁ…いや、しかし、今日はお前だって俺を当て馬に…」
「それ!それだよ!!それがまた腹がたつんだよ!なんだよ、あのイギリスの態度!!!」
しまった、またヒートアップさせてしまった。
ドイツはうんざりとしたが…
“ピピピピピッ”
その時鳴った携帯に、ドイツは喜色を隠せなかった。
それを見たフランスはムッとした顔を作るが、「すまない、ちょっとまってくれ」と引き止める隙を作らずドイツは席を立って店の外へと出た。

 *

店の外に出たドイツは携帯を取る…わけではなく、携帯を手に持ったまま左右を見、右手に店の壁に寄りかかっている人物を見つけるとホッとしたように肩を落とした。
「遅かったな」
「…うるせぇよ。せっかく日本と楽しんでたのに」
不満そうに口を尖らせながらイギリスは携帯を切り、それをポケットにいれた。
「そういう事をいうものではないぞ」
「……」
「あぁ、その分だと日本にも絞られてきたのか?」
「…まぁな」
「そうか。だったら…俺からは何も言わないが…。こっちも大変だったんだぞ」
「悪かったよ」
彼は視線を合わせないままぶっきらぼうに言う。
それが気に食わなかったわけではないが「埋め合わせはしてもらうぞ」とドイツは恩を着せるように言った。
するとイギリスは忌々しげに舌打ちをし、それから「あっ」と小さく声を上げた。
「?なんだ?」
「あー…そういえば…今思い出したんだが…悪いな、ドイツ」
「は?」
フランスのこと以外で謝罪を述べているようなイギリスに、ドイツは他に何か謝られるような事があっただろうかと首をかしげた。
「あー…じつは…その…」
「なんだ?」
「いや…あの時はちょっと気が立ってたから無視してたんだが…」
とても言いづらそうなイギリスに、ドイツは嫌な予感がした。
「その…ロマーノが」
「ロマーノ?」
唐突に出てきた名前にドイツはますます首をかしげた。
「だから、お前ら、その…付き合ってんだろ?」
「え、あ、まぁ…」
ドイツとロマーノは確かに付き合っている。一年程前から。それが短いか長いかは別にして、その事実は特に宣伝したわけでもないが何故か(何故か不思議に思っているのは当人たちだけであるが)周知の事である。
だが、直接その事を言われるのは恥ずかしいのか、ドイツはほんの少し頬を赤くした。
「…ロマーノ絶対誤解してるぞ」
「誤解?」
「だから、お前とフランスの事だよ。あいつ会議の席で、お前らのことスゲー睨んでた」
「俺とフランス…?睨んで…?」
ぼんやりとつぶやいたドイツは、言葉の意味を飲み込むに従い、顔を青くしていった。
会議中はフランスがイギリスへの腹いせに、会議そっちのけでドイツにべったりとくっついていた。
そしてその後、ドイツはフランスに腕を引かれて会議場を出て行った。
そんな彼らの姿はロマーノにはいったいどうみえただろうか…。フランスがイギリスに対抗しているということを分かっていればいいが…睨んでいたという事実がそれを否定している。
「やっぱ気づいてなかったか…。まぁフランスがべったりしてたから仕方ないかもしれないが…」
「ろ、ロマーノが…」
これではイギリスが悪いだ、フランスが大人気ないだ…というどころではない。
思わず口を手で覆ったドイツを見て、イギリスはこんどこそ反省した。
「あー…ほんとに悪い…えっとロマーノは多分ホテルに…」
「わ、わかった。悪いがココで失礼させてもらう」
「あぁ」
「それから、ちゃんと仲直りするように!それから…いや、もういい、俺は行く!」
「お、おう…」
ドイツはろくに別れの挨拶もないままに走りだした。
イギリスは急速に遠ざかっていくドイツノ背中を見て「おぉ、こりゃ記録がでそうだな」と口笛を吹いて軽口を吐いたが、すぐにその顔を渋いものに変えると、バーの入口を振り返り頭を掻いた。
「…他人のこと気にしてるばあいじゃねぇよな…」
ちょっとやり過ぎたか。
ボソリとつぶやいて、イギリスは彼を待つ戦場への扉へ手をかけた。

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