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サービス精神が違います

独とロマ

あいつら三人…つまり、ドイツと弟と日本の奴が、何度か遭難しているということは話に聞いていた。
だが…、俺が巻き込まれたのは初めての事だ。
しかも…

「なんでテメェと二人なんだよ!このムキムキ野郎!!!」

怒鳴りつけてやると、上着を脱いで海水を絞っていたドイツが「ん?」と言って振り返り、
「お前も服を脱いだほうがいいぞ」
と、俺の言葉をまるっと無視した言葉を吐きやがった。ム、ムカツク。
「うるせぇな!そんなこと言われなくてもわかってんだよ!コノヤロウ!」
このジャガイモ野郎が!
俺はぱぱぱっとすべてを脱ぎ去り、ふんっと仁王立ちをしてやった。

全く、何だってこんなとこで遭難しなきゃいけないんだ。
それもこれも、ドイツの野郎が悪いに決まってるけどな!チクショウめ!
クソ弟め、俺が気持良く昼寝してたっていうのに「兄ちゃんも一緒にいこうよぉ~」とかふにゃふにゃと言いやがって!!俺は嫌だっていったのに!
案の定、船に乗ってたらいきなり海は荒れるし!
船は転覆するし!
気づいたらドイツと二人だけだし!
無人島だし!
日本と馬鹿弟はどうやら違う場所に流れ着いてるみたいだし!

「おい、何やってんだ?」
ドイツがしゃがみ込んでごそごそやってるのが気になって聞くと…彼の前から煙があがった。
「あぁ、火を起こしていたんだ…って、お前、服を脱げとは言ったが…」
「んだよ!」
全裸の何が悪い!
「いや…適当に木の枝でも拾ってそれに服をかけて乾かすといい」
「フン!そんなこと指示されなくても分かってんだよ!」
俺はドイツの持っていた枝を奪い取ると、それを砂浜にザクっと突き刺し、脱いだ服をひっかけた。
そうして火のそばにしゃがみ込んで身体を乾かす。

ちくしょうめ。本当についてない。
といって、ドイツが弟に変わると全く役にたたない様な気がするし、日本とだったら何話していいかわかんねーし…。
ということは、コイツと二人ってのはそこまで…ってだまされねーぞ!コノヤロウ!
何だって俺がドイツのムキムキジャガイモなんかと二人で居なきゃいけねーんだよ!

「次は何をしてんだよ!コノヤロウ!」
またなにやらゴソゴソやりだしたドイツに怒鳴ると、「あぁ、これか」と1メートル少しほどの長さの棒を俺に見せた。
ドイツはそれを片手に持って、もう片方の手にはサバイバルナイフを持っている。
ホントになにやってんだ?
「槍…いや、銛(もり)を作っているんだ」
「銛?なんでだよ」
「何故って…食うものがないと困るだろう」
彼はシャシャッとナイフを動かし、棒の先を器用に尖らせた。
そして、軍服の上で器用にフクロのようなものを作り上げると、「ちょっと行ってくる」と言ってさっさと海に入っていった。
「遭難慣れしすぎだろう」
きめぇ。
ああはなりたくないものだ。

ドイツが行ってしまったので、俺は仕方なく火の番をすることにした。
砂浜に落ちている乾いた枯れ木を集めてきて、火にくべる。
それを何度か繰り返すと腹が減ってきた。
「チクショウ、トマトが食べたいぞ」
といっても、残念ながら軍服に入れていたはずのトマトは海に流されてしまって手元にない。
悔しいので濡れた砂を掴み取ってゴネゴネして、トマトを作った。
ふ…、我ながらパーフェクトなできばえだ。
ニヨニヨしていると、
「何をしているんだ?」
「ワッ!」
いきなり声をかけられて驚いた拍子に、クシャッと出来立てのトマトを崩してしまった。
「てめぇ!いきなり声をかけるんじゃねぇぞ!このマッチョヤロウ!」
崩れたトマトを容赦なくぶつけてやる。
「こ、コラ、止めろ!」
「うるせぇ!!!」
べしゃべしゃと5発くらいぶつけてようやく満足した俺は、彼が手にもった軍服の袋に目をやった。
なんだかずっしりと重そうに見えるそれ…。
「今夜はご馳走だぞ」
そういって、彼がひっくり返した袋からは、名前はしらないが赤い魚や銀色の魚、そして貝類がドバドバと出てきた。
え。あれからまだ30分くらいしか経ってねぇぞ。
こいつ軍人より漁師の方が向いてんじゃねぇの?
「うわぁ…」
いや、凄い。凄いけど…。
「あとは、ちょうどヤシがなっているから実から水分をとって、大きめの貝殻があったからそれを鍋の代わりに…」
凄くはあるけど…ここまで無人島慣れ…?遭難慣れ?してるって…
「キメェ…」
思わずどん引きしてつぶやくと、ドイツはなんとも悲しそうな顔をした後、肩を落としてため息をついた。

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