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攻略するつもりは無かった 05

夕食はレストランに食べに行こうと考えていたのだが、ギルベルトのわがままで俺が料理することになった。
きっとこれも彼の考える試験の一環なのだろう。
俺は甘んじてキッチンに立つことにした。
メニューはギルベルトが袋いっぱいに持ってきたジャガイモを使って作ることにする。
ルートヴィヒもよくジャガイモとヴルストを使った料理を作るのだが、きっと二人ともこの二つが大好物なのだろう。
メニューはジャガイモとヴルストを使ったスープに、うちの故郷の味であるニョッキのトマト煮込み。それにスモークサーモンのサラダをつければ十分だろう。
本当はピザも作りたいところだが、ここには釜もなけりゃまだオーブンもないので無理だ。
まぁそれはいいとして…作っている最中リビングからはギルベルトが、別れた女に復縁を迫るような事をルートヴィヒに言っているのが聞こえてきて辟易する。
ここに誰か他の人間がいたならば、俺達のこの状況をどう思うだろうか。
ルートヴィヒの母親(?)であるギルベルトが、息子が同棲している恋人を品定めに来た?
それとも、別れた恋人が今同棲している相手の所まで出向いて、寄りを戻そうと迫っている?
どちらにしろ冗談じゃない。

 *

料理についてはどうやら合格点をもらえたようだ。
ギルベルトはかなり憎々しげに料理を見ていたが、マズイとは言わなかったし、残さず綺麗に食べた。(会話は刺々しいものだったが)
それにフフンと自慢気な顔をすると、今にも包丁を持ち出しそうな顔をされたので焦ったが、ちゃんとルートヴィヒがとめてくれた。
そして、俺をかばうルートヴィヒをギルベルトは恨みがましい目で見ていた。
ルートヴィヒは片付けくらいは…と言ってはくれたが、ギルベルトと二人にされるのは怖すぎるので俺がやると言って後片付けをする。
皿を洗っているとリビングからは、今度はルートヴィヒが懸命に兄を納得させようとしている声が聞こえてきて、また複雑な気持ちになる。
これじゃ結婚を反対された息子が、必死に親を説得しようとしている図そのものじゃないか。
実際には違うとわかってても、俺は少し…いやかなり複雑な気持ちになった。

 *

ギルベルトが風呂に入っている間、ソファの隣に座ったルートヴィヒはまた俺に謝ってきた。
「本当にすまない…。幼い時に両親を亡くして二人で暮らしてきたせいか、あの人はやたらと俺に過保護で…」
そういうルートヴィヒに、ギルベルトの異常とも言える執着の原因がわかって俺は少しホッとした。
というのも、こいつら本当に兄弟の関係だけなのか…?と、訝しく思っていたりしたのだ。
誤解でよかった。本当に。
「そう…だったのか。なら仕方ないよな」
「あぁ…。本当は彼もこっちに越してくるといってきかなかったんだが、向こうには両親が残してくれた家もあるし、ペットの犬も三頭いるし…」
「ふぅん。ちなみにギルベルトは何をしてるんだ?」
彼も体格がいいし警察なんかにいるのだろうかと思って聞いてみたが、
「あー…いろいろだな」
違うらしい。
「いろいろってなんだ?」
「兄さんはあれで器用な人なんだ。雑誌に文章を載せたり、時計を作ったり、頼まれて写真をとりに山に登ったり、パソコンでプログラムを書いたり…」
ほかにもいくつも色々やっているらしい。
「すげぇな…」
「そうなんだ」
驚きと共に俺が素直に褒めると、ルートヴィヒは自分が褒められたみたいに喜んだ。
ギルベルトが過剰すぎて目立たないが、きっと彼も兄の事が大好きなんだろうなと思えるような笑顔。それは彼のいかつく年より上に見える顔を歳相応かそれ以下に幼く見せた。
そして、なんだかその笑顔を見ているとこっちまで嬉しくなってしまって、もっと喜ばせたいと「多彩なんだな。いい兄貴だ」ともう少し褒めてみると…
「てめぇ!俺のルッツを口説いてるんじゃねーーー!!!」
と、バスルームから水浸し半裸のギルベルトが大声を上げ飛んでた。その姿を見て、俺は先程の言葉を胸の中で即座に取消させてもらった。

やっぱり、こいつはただの変態だ。

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