スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

013 絆創膏

もうセシルは一週間も学校に通っていない。
クラスメートや先生などは、季節の変わり目で体調を崩したと思っているがそんなことはない。
セシルは怪我をしたのだ。
といっても、足を折ったとか、あばらが何本かイッたとかいう重症ではない。
彼の怪我は額に出来た大きなたんこぶのみだ。
それがどういう状況でついたものか…日々セシルをどうにか傷めつけてやりたいと思っている俺としては知りたいところではあるのだが、セシルがとてもいい笑顔で『絶対、泣かす』と言っていたので、あまり深くは探らないことにした。

 *

「平和だなぁ…」

というわけで、俺は今かつて無いほどの幸せを享受していた。
なんというか、買ったばかりの新しいノートを開き、今回こそはきれいなノートをつくるぞッと気合を入れてるような気分…俺自身でも意味がよくわからないけど。
まぁとにかく、心機一転といったかんじだ。
この平和な日々、俺は一切授業をさぼらなかった。
板書だってがんばった。
先生の雑用だってすすんでやった。
体育の授業の準備も片付けも率先してやった。
日直でもないのに黒板消しもした。
部活の助っ人だってもちろんやった。
もちろん大活躍だ。
女の子たちとの恋話もそれなりにエンジョイした。
挨拶活動もやってやろうかと思ったが、それは自重した。
まさに青春真っ只中。
めちゃくちゃ毎日が楽しい。

「あー、もう、本当幸せ」

知ってたけど、すっごく知ってたけど、やっぱり俺の疫病神はセシルだったらしい。
彼がいないだけで、世界が色彩豊かになったような気がする。
まさにバラ色。
空気は美味いし、雨の日だって俺の心は晴れ渡っている。
苦手だった寝起きだってすっきり爽やか。
世間的にも春だが、俺もまた人生の春を迎えている。
まるで雲の上でもあるいているかのように、足元もふわふわで…

「ウワッ・・・ッ!!!!!」

 *

「カイン君、また階段から落ちたらしいよ」
「え、ここ一週間で3回目じゃね?」
「その他にもドジおおいよね。こないだも椅子に座り損ねてこけてたし…どうしちゃったのかな?」
「やっぱり、セシルがいないのが響いてるんじゃねー?」
「あー…」
「かもかも」
「やっぱカイン君にはセシル君が居なきゃだめなんだね」
「早く風邪治るといいねぇ」
「ねぇ」

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。