スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

014 目に見えないもの

屋上に行くと、セシルが大の字に寝転がっていた。
おかしい。
俺が教室を出る時には、彼は確かに机に寝そべっていたはずなのに…。

「セシル」

声を掛けるとセシルは顔だけをこちらに向けニコリと微笑むと、またまっすぐに空の方を見た。
「カインー」
「ん」
「偽物臭い青空」
へへへと笑うセシル。
その横に腰を下ろし、後ろに手をついて空を見上げた。
そして、
「確かに…」
納得。
広がる青空は偽物のように美しかった。
深い青…どこまでも透き通ったディープブルー。
高い、高いところに筋状の雲があるだけで…本当に見事に晴れ上がった空は美しいが故に作り物めいていた。
だからといって、その美しさを少しも貶めることはないのだが。
俺は空を見ながらゆっくりと身体を倒した。
「明日も晴れらしいよ」
「ふぅん」
「気温も上がるって」
「へぇ」
「だからさ、明日、花見いかない?」
「あ?」
「エッジとリディアとローザと…」
「あぁ」
「それと、兄さんさそって」
「…それは…やめてくれ…」
いやほんとマジ勘弁。
気分までブルーになっちまうじゃないか。
そんなことを言うと、セシルはくすくすと笑った。
「お前な…」
どうやら冗談だったらしい。
思わずため息が出る。
「ローザとリディアがお弁当つくってくれるって言うんだよね。だからさ」
「ん…」
あまり興味を示したようには聞こえないように返事をしたつもりだが、付き合いの長いセシルには俺がノリ気なのが見え見えであったらしい。
「楽しみだねぇ」
なんて見透かしたような言葉が返ってきてイラッとした。
だが…まぁ、今日の綺麗過ぎる空に免じて勘弁してやることにする。
目を閉じるとまぶたの裏が明るすぎるくらいに明るい。
明日は花見か。
…っつか、明日は平日じゃなかったか…?
いや、まぁいいか。
俺は4時間目の始業のチャイムを聞きながら、ゆっくりと眠りに落ちていった。

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。