スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

竜騎士 12

読み返して・・・ないです。
「悪かった。よく言い聞かせとくから・・・今日の所は勘弁してくれ」

俺は竜騎士団の屯所入り口の前に立ち、右手を前に出して言った。
前にずらりと並んでいるのは・・・殺気立った暗黒騎士団の面々だ。
何も言わない彼らに
「頼む」
小さく頭を下げて見せる。
すると、彼らの中の一人が隣にいた人間に顔を向ける。そして、中央の一人が一歩を前に出た。
それに少し緊張するが・・・
「貴方のことはまだしも・・・他の人間は許可できない」
ぶっきらぼうに言い放つ。
彼の言いたいことをもう少し詳しく説明すると・・・俺が暗黒騎士団の屯所に入るのはまぁ許可してやるが、他の人間は駄目だってことだ。つまり・・・彼は、俺の副官であるサッズが彼らがボスの所に行ったのがクソ面白くないのだ。そして、それにもまして彼らの隙をついて自陣に無事逃げおおせたことが。
「悪かった。この通りだ。今回は見逃してくれ」
先程口を開いた男に一人が近づき、何事かを耳打ちする。
俺は彼らの出方をじっとみる。
背中、扉の向こうには勤務時間外とはいえ、まだ何人かの竜騎士(部下)が詰めているはずだ。
そして、きっとこちらの出方を見守っているはず。
一触即発状態。
しかし、それを感じているのは俺たち、竜騎士団の方だけかもしれない。
あぁ、クソ・・・セシルのやつ。
肝心な時に居ないんだから。
「ここは引いてくれ」
もう一度、今度は懇願に近い口調で言うと・・・彼らは互いに顔を合わせ・・・そして、後ろの方にいた数人が帰ったのをきっかけに、どうやら解散とあいなったようだ。

安堵の息をつくと同時に、ドンッと背中に扉が当たった。
誰かが中から扉を開こうとしたのだ。
数歩前に出て、扉を振り返ると・・・仲間の一人、クレマンだ。
竜騎士は小柄なものが多いが、彼もそれに違わず小柄で、黒い巻き毛の髪を持っている。彼は俺にちらりと目を向けた後、すぐに当たりを伺うように視線を左右に送った。
「大丈夫だ。彼らは帰ったよ。」
教えてやると、彼は俺に視線を戻しホッと息をついた。
「よかった。どうなることかと思いましたよ」
「だろうな。お前一人だったのか?クレマン?」
「いえ、あぁ・・・副長もいますよ。もちろん」
「あぁ・・・そうか」
俺の言葉に彼は苦笑し、彼も仕方ないというように肩をすくめ俺の為に大きく扉を開いてくれた。

部屋の中にはサッズとクレマンを入れて5人の人間がいた。
サッズ以外にねぎらいの言葉をもらって、肩を竦める。ひどくつかれているように見えるのは、彼らも相当ピリピリしていたということだろう。
一人があくびをして外に出、入れ替わるように交代要員が入ってきた。
彼は俺がいることに少し驚いたようだが、挨拶をかわして合流する。
俺は彼らが完全に落ち着き、リラックスしたのを確認してから奥の方でまたコソコソとやっているサッズの元へと向かう。

昼間はひどく機嫌が悪かった彼は・・・暗黒騎士団団長の屋根の上で悠々自適とすごし、それを見つかって夕方から夜にかけて暗黒騎士団に追い掛け回され、そして結局逃げ切った彼は・・・
今、ひどくご機嫌な様子だった。
こちらの苦労も知らずに。
鼻歌なぞ歌いながら、手にもったものを削り取っていく。
覗き込めばそれは昼間失敗したのだと悔しそうにしていた代物で・・・
だが、今また嬉々としているのを見ると、どうやら上手く修復なりなんなりできたらしい。
俺は彼に文句に一つでも言ってやろうと口を開きかけたが・・・結局何も言わずに口を閉じた。

まぁ・・・後でかまわないだろう。

The Cranberries - Zombie
ヴォイニッチ手稿

コメントの投稿

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。